グイグイ来る義妹

 駅前にある『みけねこ』というカラオケ店へ入った。

 学生人気が高く、他校の利用客も多い。


「結構いるな。空いているといいけど」

「ここ安いもんね~」



 受付へ向かい、入れるかどうか確認した。すると、部屋はギリギリ空いていた。ラッキー!


 230番の部屋に決まり。

 部屋へ向かう前にドリンクを入れていく。

 追加料金なく無料なので、俺はコーヒーを。夢香はドクペにしてた。ドリンクバーにそんなのあるんだ……。


 ドリンクを持ち、そのまま部屋へ歩いて行った。



「ここかぁ」



 俺は扉を開け、先に夢香を行かせた。



「ありがとね、お兄ちゃん」



 部屋は個室でそれほど広くはない。

 テーブルに飲み物を置くと、夢香が制服を脱ぎ始め――って、ええッ!?



「夢香……!」

「……えへへ。だって、二人きりだもん……」


「な、なにを!」


「まずはお兄ちゃんを誘惑しようかなって」



 グイグイ来る夢香は、俺をソファへ押し倒す。

 義妹から襲われるー!?



「まて、夢香。ここはカラオケ店だぞ」

「うん、知ってるよ~。なら、お兄ちゃん襲ってもいいよね」


「どういう理屈なんだ!」


 どうしてそうなるんだか。

 いや、気持ちは嬉しいけれど……窓が薄いから外から見えるんだよね。万が一、誰かに盗撮でもされたら大変だ。


「理屈とかじゃないよ。夢香がお兄ちゃんとしたいかどうか」

「だめだ。そういうのはアパートでね」


「え~、こういう公共の場だからドキドキするのに」

「部屋の外からカメラをパシャパシャする連中もいるからな。用心しないと」

「そ、そうなの。それはイヤだな」


 危険を感じたのか夢香は引いてくれた。

 ようやく、曲を入れる為のタブレット端末を手に取り、選曲。アニソンを入れ始めた。……おぉ、今流行りの“新時代”か。

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