海への道

バスに揺られて

着いた停留所で降りたら

駄菓子屋さんがあって

そこで買ったラムネを

側のベンチに座ってゴクリ

汗ばんだ頬を風が撫でていく

瓶を揺らすとカラコロと

ビー玉が踊る


そんなささやかな儀式のような

夏のはじまりを

今でもたまに懐かしく思い出す


そういえば

もう、あのバスの路線は

廃止されてしまったらしい


幻のように

あの情景だけが

今も胸の底に残っている


想い出のなかで

あなたが笑う


海への道は

まだ彼処にあるのだろうか

もう道順も忘れてしまった


片足だけなくした白いサンダル

空になったラムネ瓶だけ握りしめて


海への道は、もうみえない

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