深爪と三日月

見えるものだけが

全てではないなんて

あたりまえのこと


髪を掻きむしって

それから深爪する

摘んだ白い爪は

無数の三日月みたい


軽くなった指先に安心して

ゆっくりと髪を洗う


窓の外には

空に還ったのか三日月


薄蒼の仄かなあかり


静寂に潜む狂気。

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