■コンビニ _精霊水11/12/08:35■
「あなたは堕天…したいのかな?」
ヤタは『精霊水』と書かれたペットボトルの蓋を開け、席を静かに立ち上がると座っているゴンさんを見おろしていた。
「堕天!?そんなのしたいワケ無いですやん!」
「そう、良かった」
そう言ってヤタはペットボトルの水をゴンさんの頭からかけた。
「ちょっ!?冷たッ!?」
「堕天しないように清めておかないと…」
「は、反省しとるから!こ、この通り!」
ゴンさんは瞬く間に椅子から降りてヤタに向かって土下座していた。
俺はヤタがそんな酷い事をするとは思っておらず呆気に取られていたが、悲しいかな接客業の癖で身体が勝手に動いていた。
「ゴンさん、俺には何がどうなってるか良く分かりませんけど、とりあえずここは拭いときますから今のうちに着替えてきて下さい」
「あ、ああ、ほんまごめんやで」
頭からずぶ濡れになったゴンさんは私服に着替えるためにすぐ隣のロッカールームへ移動する。
「ヤタ。その、良くわからないけどちょっとやり過ぎなんじゃ?」
俺は濡れた床を拭きながらヤタに問う。
「ナイナイ、あれはミソギの儀式。治療みたいなもの」
「え、そうなの?」
「天使が嘘をつくのは悪に染まりつつあるしらせ」
「それは態度から嘘だと分かったの?」
「私は『千里眼』を修得してるから、相手のステータスとか色々と見えないものも見えるんだ」
「もしかして、ステータスにあったアビリティ『神使い』ってところのスキルとか?」
「そうだよ」
なるほど、理解すべき事が増えているがゲームの世界観か現実にも及んでいると考えるといいのか?
「そうなんだ、ちなみに堕天するとどうなるの?」
「悪の行いをするようになるから討伐対象にされる感じかな、天使特有のBADステータスだよ」
「その、天使ってやっぱり、人ではないんですよね?」
「もちろん」
もちろん!?
「失礼します!さっきはスミマセンでした!」
「良いよ、気にしてないから。それじゃ話しを進めよっか」
「お願い致します」
戻ってきたゴンさんは何故かスーツ姿で色々と印象から変わっていた。
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