■アパート_キッチン/11/11/24:49■

 少女に温かいハンドタオルを渡し、キッチンに立つ。


 一人暮らしの狭いキッチンにはコンロは1つしかない。不便なキッチンで数多くの食材を扱うのは面倒で、コスパ的にも一人分の料理を作るなら外食とあまり変わらなくなってくるので外で済ませる事が多い。そんな中でも俺が作るものと言ったら簡単なパスタやカレーくらいだ。


 そもそも基本的に家にいる時間は短く、寝るために帰ってきていると言って良い。


 というか!会ったばかりの他人の手作り料理を口にするというのはなかなかリスキーではないか?


 警察の前にご飯を食べさせようという判断はたぶん間違いだが、おにぎり画伯の知識を子供の時に詰め込んだ結果だと思う。


 あー…おにぎりか…おにぎり…。


 キッチンの前で天を仰ぎ悩んでいると、足を拭き終えたのか少女が部屋にあがってきた。


「あ、タオルは洗濯機の上n―」

「a…して…」


 なになになになに?

 初めての会話!?


「…イレ…aしt…下さ」


 畳んだタオルを股間前で持ち、なんだかソワソワしている?


 …俺は胸の前で両手を叩いて鳴らすと、あわててかけてあったダウンコートのポケットから鍵を取り出し―


「そこの白い扉がトイレだから!

 ちょっと部屋出てるから!

 終わったら知らせて!」


 少女の返答を聞く前に俺は部屋を飛び出した。



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