第12話 大フィーバーで大混乱!?凛とみんなの夏休み!(12)



「なにすんだよ、ハゲー!」


「五分刈りだ!!」


「ウェイウェイウェイ!じゃあ、驚かせたお詫びに、俺がリンリンに、ケバブを食べさせてあげる系~」


「ばんちゃんおやめなさい!それはあたしの役目よ!はい、凛ちゃん~タイ焼きを召し上がれ♪凛ちゃんが、頭から食べて~モニカちゃんがしっぽから食べるから~!」


「ちょ、モニカちゃん!?」


「一匹を2人でシェアさせる気っすか、モニカ先輩!?」


「熱いのばっかり食わせるなよ!凛たん、かき氷がいいよな?イチゴ練乳。」


「わはははは!牛串だろう!?牛タンに、焼き鳥、豚串もあるぜ!」


「凛道、


「ちょ、ありがたいけど、やめて下さいみなさん!」


「リンリンのお膝ゲット~」


「あ!?俺が先だぞ、長政!?ねぇ、我が君~?」


「重っ!?ちーちゃんも、つなぐも、重いよ!」


「テメーら、2人がかりで凛の膝に乗るな!降りろ!あたしの前で勝手は許さねぇぞ!」


「あん、割り込まないでよ高千穂ちゃん!」


「僕を引っ張らないでください、モニカちゃん!」


「うははは!綱引きなら、わしも負けへん!」


「あぁああああああー!?やめて、ヤマトぉ!もげる、もげる!」


「馬鹿野郎!凛が真っ二つになる!」


「とか言いつつ、凛道を抱き寄せないでください、瑞希先輩―!」


「わはははは!それを言うなら羽交い絞めだろうー!?俺様も混ぜろ!」


「凛さん!今お助けします!」


「危ない、カンナぁ!」


「よせ、悠斗!巻き込まれるぞ!」


「やめんか!凛道の着物が乱れるぞ!」


「じゃあ、烈司さんが直してあげるぜ、凛たん♪」




(もうむちゃくちゃ・・・・!)




止めようにも、体が動かない。


口でも言っても聞かない。まさにお手上げ!




〔★バンザイすらできない状態だ★〕






再び収拾がつかなくなった時、2度目の雷が落ちた。





「オメーらマジでいい加減にしろ!!!」


ポコポコポコ!


「きゃん!」


「うわ!?」


「痛て!」


「ちょ、瑞希~」


「真田先輩!?」


「うははは!」



「散れ、散れ!!凛から離れろ!」





瑞希お兄ちゃんが、ビニールのハンマーで私に群がる人達を追い払う。





「オラ!ちゃんと座れ!きちんとするまで凛は没収だっ!!」


「お、お兄ちゃん・・・」





人の群れから私を救いだし、小脇に抱えながら怒鳴る好きな人。




「怒るなよ、瑞希~」


「ちょっとふざけただけじゃな~い!」


「ふん、ブラコンが・・・」


「わはははは!戦わせろー!」


「うるせぇ!頭冷やせ!」




距離を取るため、シートのはしへと進む瑞希お兄ちゃん。


悲痛な声で「瑞希せんぱぁーい!」と呼ぶ円城寺君もスルーしていた。




「オラ、身なりを整えろ!きちんとしろ!初代の言うことは!?」


「「「「「「絶対。」」」」」」


「うはははは!」


「瑞希先輩・・・」


「美味しいとこ取りやがって。」


「ちゃっかりしてるわぁー」


「フン。」


「わははははは!」




初代総長の命を受け、ぶつぶつ言いながら、みんなが姿勢を正しはじめる。


その間、隅っこで瑞希お兄ちゃんと待つ。


小脇に抱えられていたのを下ろされたが、ぴったりと密着できたので嬉しかった。




「たく、どいつもこいつも・・・!」




そうつぶやく彼から、ほんのりと汗の香りがした。


運動部の汗のにおいと違い、ドキッとする匂いだった。


女子でもこんないい香りしないのに・・・やっぱり彼は素敵な男性だと思う。




「凛、大丈夫か?」


「へ、平気です。ありがとうございます・・・」




そう答えて、彼の方へとさらにくっつく。


これに瑞希お兄ちゃんは、苦笑いするだけで許してくれた。


背景として映る円城寺君は、許しがたい顔でこちらを見ていたかもしれないが気にしなーい♪




〔★大河は気にしている★〕






「まったく・・・誰が凛の近くに座るか、どこに座るかで大騒ぎしてもめやがって!どこまで面倒かけさせるんだか。」


「あ・・・・すみませんでした、瑞希お兄ちゃん。僕のせいで・・・」


「ばか!勘違いすんな!凛が謝るなよ!」




気まずい思いで謝れば、私の頭をなでながら言ってくれた。




「お前は悪くない。まぁ・・・人気者はつらいってことだな?」


「そんな・・・僕が頼りないから、心配されてるだけで・・・」


「けど、嫌いな奴を心配したりしないだろう?ダチが増えて、良かったな?」


「え?」


「結構気になってたんだぞ?龍星軍、1人でどこまでやれるのかって思ったが・・・なんのことはねぇ。ちゃんと良い仲間を作ってきた。」


「・・・そうですね・・・」




そう言われて変な気分になる。



凛道蓮を始めた時は1人だった。


最初は、瑞希お兄ちゃんが目的で始まったこと。


友達というか・・・そんなつもりじゃなかった。


それが今は・・・・




「瑞希、凛たん!戻ってきていいぜ。」


「早くモニカちゃんのお膝いにおいで~」


「お前がそう言うことを言うから、いかんのだぞ。」


「わはははは!早く次の修羅場になりやがれ~!」


「凛さんを巻き込まないでくださいよ、百鬼先輩!真田先輩、俺が守りますんで凛さんをお返しくださーい!」


「うはははは!さすが瑞希はんや!わしらの扱いをわかっとる!」


「ついでに、大河の気持ちもわかってくれればな。」


「うるせぇぞ秀!瑞希先輩、カムバッーク!」


「ウェイウェイウェイ!カンナっちは、『は』から始まる男の気持ちを理解してほしい系~」


「はあ?あたしゃ、凛のことで精いっぱいなんだよボケ!凛、もう大丈夫だからな!」


「ざけんなよ、幡随院ぁ!!カンナもぉ~!!」


「ということで、俺達もうケンカしないのでお戻り下さ~い!ぼっしー&お兄様!」




(・・・・友達、か。)




「帰るか、凛?」


「・・・はい。」





凛道蓮は、仮の姿だけど・・・それでも友達でいいのかな?



私が『凛道蓮』じゃなくて、『菅原凛』だってわかったら、この友情はなくなるのかな?





(瑞希お兄ちゃんは・・・どう思うのかな・・・?)





そんな思いで、席に戻った時だった。






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