* 天地を喰らう

ところで三国志のマンガって色々出ていますけど、一番面白いのってどれだと思いますか。


あ、すいません。

質問しておいてなんですが、あなたの答えはどうでもいいです。

答えは天地を喰らうです。

本宮ひろ志氏の。

40年くらい前のマンガですね。

これが非常に面白いので、皆さんにも是非知っておいてほしいのです。


面白いと言っても、歴史ものとしての面白さはほとんどありません。

序盤は三国志の武将はほとんど出てこず、龍とか鬼とかか出てきて、劉備が曹操にであうより早く諸葛亮にあったりします。

史実はおろか演義にも似てません。

あえていうならパリピ孔明あたりが比較的近いです。原典から積極的に目を逸らしているという点が。


しかしこの原作の雰囲気を全く無視し、面白ければそれでいいだろうという割り切った姿勢にとても好感が持てるのです。


序盤はとにかく竜と鬼と魔物なのですが、中盤からは割と三国志で、董卓討伐までで終わるため三国なぞ微塵も出てこないものの、それでも劉備と曹操と孫策くらいは出てきます。

まあおなじみといえばおなじみです。


おなじみじゃないのはキャラの強さです。

ふざけてんのか。


張飛の弓矢が丸太を曲げてロープを張っただけとか、

関羽が重すぎるので二頭並べた馬に乗って出陣とか、

呂布が武器を降ると相手は胴体どころは馬もろとも真っ二つになるとか、

衝突した軍勢が地面に倒れるのではなく天へ昇っていくとか、

鋒矢の陣や鶴翼の陣がマスゲームのように矢印や鶴の形をしているとか、

とにかくメチャクチャなのです。


しかも中国を統一するのが天変地異を巻き起こした劉備です。

反三国志なんかメじゃありません。


作劇上のクライマックスは虎牢関攻めなのですが、城壁が高すぎるとか董卓がアレすぎるとか、そういうところは意外とどうでもいいです。


すごいのは董卓討伐の連合軍が最後に取る作戦です。

そこしか頭に残りません。

いや、作戦自体はたいしたことないんですが、迫力がすごいんです。

ものすごいハッタリ、やる気満々、人の話を聞かない。そこを勢いで押し切る。


これがエンタメか。エンタメとはこう書けばよかったのか。そう思う事まちがいなしです。


この場面の面白さを余すところなく書くのはフェルマーの定理のように難しいので、このシーンは是非実際に読むべきです。

ジャンプから販売されたコミックスは現在入手できにくいようですが、電子書籍はまだ販売しています。良かったですね。

今すぐ買って墓まで持っていきましょう。

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