俺たちは天使じゃない
俺は君の疑問全てには答えられない
だって俺は彼じゃないもの
“でも同じカテゴリーでしょ”
じゃあ君は人類についてどこまで語れるの
当事者だからってそのことについて詳しいとは限らない
当事者同士だからって誰もが同じことを同じように悩んでるわけじゃない
人が一人一人違っていると思っているなら
誰もが彼を崇拝しているわけではないとわかるだろう
同じ属性、同じ要素だからって
それだけで仲良くなれるなら人類みんな友達だ
人は一人一人違う、みんな違ってみんないい、
それって本来面倒臭いことなんだぜ
だからこそそんなあっさりまとめられるわけがない
これじゃ頭が悪くなりそう 性格が悪くなりそう
彼が“そう”だからって俺も“そう”なわけじゃない
俺が“そう”だからって彼も“そう”なわけじゃない
他の誰がとある生き方をしていたところで
彼女が同じ道をなぞらねばならない理由はない
みんながみんな差別について学んだわけじゃない
差別は悪、そこから先のことを誰もがわかってるわけじゃない
一般論ですらない狂った前提で話を進めないで
君の認識はいくらなんでも雑すぎる
俺たちのいないところで俺たちの話をしないでくれ
お願いだからどうか自分の世界に囚われないで
理不尽なことをするに当たって
“同じ人間“だと思ってすると都合が悪い
だから”蔑まれるべきもの“と捉えることにする
それで万事解決
あるいはそう天使のようだと思う
そしたら上から目線でいられる
そうすれば”私も頑張らなきゃ“
”あんなのでも頑張っているんだから“
でもそう思うからこそ、何か問題が起こったら、
”お前のくせに生意気だ“
人は普通、差別するつもりで差別しない
だから”差別するつもりはなかった“
そう差別される側にいるからって他の誰かを差別しないとは言えない
”だからこそ“自分より下だと見なした者を攻撃する危険もある
俺たちは天使じゃない
酒も飲むし性欲もある
サボったりいい加減だったり
人を嫌うこともあるし妬むこともある
でもそれがまるで”駄目なこと“みたいになるのはなぜだろう
そんなの別に普通なのに
俺たちは別に多様性の象徴として存在しているわけではない
俺たちは別に世界を明るくするために存在しているわけではない
「同性愛者は特殊な才能を持っている」とか
「障害者は純粋な心を持っている」とか
そんなのは”そうでなければ存在の意味はない“と言っているのと同じこと
”お前は私よりあくまでも下なんだよ“と言っているに過ぎない
性悪なマジョリティがいるのだから
性悪なマイノリティもいていいはずなのに
そんなの別に普通なのに
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