第196話 カノープスさんが来た・2
聖女ねぇ.....
それにしても、カノープスさんにまで言い寄るなんてね。もしかしてカノープスさんって攻略対象の一人だったりして。
ふと、そんな考えが頭の中に浮かんでくる。ちらっとカノープスさんに視線を向けると余程嫌だったのか、心底嫌そうな顔をしているのが目に入る。
まぁカノープスさんて言えば賢者と呼ばれる宮廷魔導師長だし顔はイケメンだし年齢は多分師匠の外見年齢と同じ年ぐらいだろうから私や聖女からみたらかなり年上だとは思うけど、玉の輿を狙ってるなら有なのかも知れないなぁ.....私はあんまり興味ないけど。鑑賞するだけなら有よりの有だけどね。と、そう言えば聖女って年齢いくつなんだろう?
「カノープスさん、その聖女様って何歳なんですか?」
「.....確か第二王子とそう変わらなかった筈だから十八ぐらいじゃないか?興味がないから詳しくは知らないが。そもそも聖女が居るのは王宮か教会で、俺達宮廷魔導師が普段待機をして居る塔はかなり離れて居るんだ....なのに婚約破棄事件以降、事あるごとに理由を付けて塔に来たがるんだ....魔導師達の仕事の手が止まるしたまったもんじゃない.....」
「へ、へぇ.....そうなんですね」
それはご愁傷さまですね、としか私には言えないんだけど。あれ?じゃあもしかして今回の休暇でエルフの国に来たのはもしかして。
「その聖女から逃げる為にこの国に来た訳か」
「正解」
師匠もその事に気がついたのか呆れた口調でそう言いながらカノープスさんに視線を向けた。
「この国なら例え聖女と名乗ったとしてもエルフに認められなければ入れないだろう?アークトゥルス国王陛下には既に聖女のやらかしは伝えてあるから入国許可は絶対に下りないしな」
自信満々にカノープスさんはそう言うが、大抵異世界転生聖女には魅了とかの能力があって攻略対象者を誑かしたりするからエルフの国の国王陛下にその能力を使われたら簡単に入国出来るんじゃないのかなぁなんて思ってしまう。
「.....もしその聖女が魅了の能力を持ってたらいくら告げ口してても意味なくないですか?」
個人的にも聖女がエルフの国に来るのは勘弁して欲しいので少しだけ助言的な事を伝えてみるが、それを否定したのは師匠だった。
「エルフには基本的には魅了魔法は効かないから大丈夫だぞ?リン」
「.....え!?そうなんですか?」
まさかの魅了魔法自体が効かないとは。
「エルフは基本的にヒト族よりもかなり魔力が多いのは知ってるよな?魅了魔力は自分よりも魔力が多い人に対しては掛けることが出来ないんだ。今回現れた聖女の魔力量はヒト族の中では多い分類に入るそうだが、元よりエルフの魔力量とは比べ物にならないんだ」
「そう言うこと。だから俺もエルフの国に逃げ込んだ訳だ。聖女が魅了魔法を使ったとしてもこの国には絶対に入れないのがわかってるからな」
自信満々にカノープスさんは言い切った。.....本当に聖女が嫌いなんだね。攻略対象者なら少なくとも多少の好意は持ちそうな気がするけど。
それなのにこれだけ嫌われる聖女って逆に気になるわ......いや、会う気は一切ないけど。
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