第157話 エルフの国・3
街の中を抜けて行き着いた先は王城だった。
....へぇ....エルフの国にもお城ってあるんだ....
正直私の感想はそんな物だった。でも人の国のような華美なお城ではなくて本当に単なる象徴的な物の為だけに造られた感じ。
「あくまでも城は対外的な物の為に造られたに過ぎないからな。流石に人の国の要人と話し合いをするのに個人の家に迎える訳にはいかないだろ?」
「ああ、まぁ確かにそうですよね」
迎えられた方もビックリすると思うけど、十中八九侮られる可能性の方が高いよね。
お城の門の前に立っているエルフの騎士の人に師匠がギルドカードを見せて私の紹介をすると特に問題もなくお城の中へと通された。
え?ほぼ顔パス?そう言えば師匠も確かハイエルフだっけ?もしかしてエルフの王族の人と知り合いとか、もしかして師匠自体が王族とか?
「そう言えば師匠もハイエルフなんですよね~?もしかして王族だったりします?」
世間話をするように気楽にそう話し掛けてみるとすんなりと肯定された。
「ああ、そうだな....今の国王が俺の父親の兄だから王族と言えば王族か?」
「.....マジっすか....」
まさか本当に王族とは思ってなかったわ....え?何でエルフの国の王族が人の国で冒険者やってギルドマスターまでやってたの?
「そもそもハイエルフ自体が今は少数になってるのもあるが基本的にエルフは出生率が悪くてな。長命故に子供が出来にくいのもあるんだが....だから王に何かあった場合の為にハイエルフの王族は王位継承権を放棄出来なくしてある。だから俺の父親も王位を継ぐつもりはないが未だ王族なんだ」
「だから必然的に師匠も王族なんですね」
「まぁ王位継承権はかなり下だから俺が王位に着くことなんてないし、そもそもなるつもりがないからなぁ」
「....もしかして人の国みたいに壮絶な王位継承権争いとか....!」
「ハハハ!ないない!そんな物は人の国だけだ。ハイエルフもエルフも同族を大事にする種族だし、基本的には争いを好まないんだ。必要があれば戦うがそれ以外ではのんびりした種族だ」
「へぇ~……」
ラノベでは色んなパターンのエルフやハイエルフとか居たけどこの世界のエルフ達はそんな感じなんだなぁ....。
「さ、着いたぞ」
色々話している内に、いつの間にか大きな扉の前まで歩いて来ていて扉の前に居る騎士さんに師匠が何やら話すと扉をゆっくりと開けてくれた。
「行くぞ、リン」
部屋に入る師匠に頷き、私も中へと入ろうとした時に騎士の人と目が合って慌てて会釈すると、騎士さんも笑みを浮かべて会釈を返してくれた。
「あの師匠....この部屋は」
私が前を歩く師匠に尋ねた瞬間、前方から声が聞こえた。
「よく来たな、シリウス。そしてシリウスの弟子よ」
部屋の中に静かに響くそのイケボに私は瞬間固まってしまう。
え?何このイケボ。足の爪先から頭の天辺にまで響くような低音ボイス。
.....最高かよ....
「私がエルフの国の王、アークトゥルス。エルフの国へようこそ」
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