第78話 ドラゴンの涙花・2

「まさかこんなにも早く手に入れて帰ってくるとは思ってなかったよ」


辺境伯家の屋敷に到着した私とギルドマスターはこの間と同じ部屋に案内され、お茶を頂いていた。ちなみにこの部屋はサロンと言うらしい。お客様が来た時に案内したり、家族全員でお茶をしたりする際に使われるそうでまぁ応接間みたいな物かな?と個人的には理解してる。


急な先触れだったにも関わらず体を空けて屋敷にもてなしてくれる辺境伯は貴族の中ではかなり話のわかる方なんだなと再確認した。


忙しい辺境伯にあまり時間を取らせるのも申し訳なく、取り急ぎ用件のみ伝えようと採取してきた"ドラゴンの涙花 " 5本を無限収納から取り出しテーブルへの上へと置いた。


「これが採取してきた"ドラゴンの涙花" です。教えて頂いた洞窟の隠し部屋の中にありました」

「隠し部屋とは?」


あの部屋の事辺境伯様は知らないのか?まぁ地図を代毎に更新とかしないならわからなくても仕方がないのかな?


「えっと.....まずこの洞窟の中を歩いていくと行き止まりになります。そこまでの通路には何もないです。で、行き止まりの壁を壊すと中に更に通路があってその先に花が咲いてますね」

「.....なんと!?」


そうだよね、ビックリするよね。

私もしたもん。


「取り敢えず本数を聞いてなかったので予備を含めて5本だけ採取してきました」

「何故5本なのだ?」

「えーっと.....聖獣様の声が聞こえて5本なら取っても良いよ、と」

「ちょっと待てリン、聖獣って何の事だ?」


そんな報告受けてないぞと言うギルドマスターの視線がバンバン飛んでくるんですが、言っないので仕方ないか。


「言葉通りですね。六花の霊峰に住む聖獣様の事ですね。花を取ろうとしたら用途を聞かれたので答えたら5本取って良いよって言ってくれたんです」

「......まぁそう言うことにしておこう....それでヘンリー、王家には直ぐに連絡するんだろう?」


あ、考えるの放棄したな。


「お前から連絡が入った時点で既に連絡は入れてある。私がここを離れる訳にはいかないので向こうから取りに来る予定になっている」

「そうか」


王族の住んでる王都からミルトンまでどれぐらい掛かるんだろう?辺境伯がすぐに行けないって事はかなり日数が掛かるって事よね?いつかは行ってみたい気もするけど当分は無理かなー?


「ギルドマスター、どうやって来るんですか?」

「ん?ああ、ここから王都まで馬車で行けば最低でも1週間は掛かるが宮廷魔導師には転移魔法を使える者もいるからな....多少は短縮されるんじゃないか?」

「宮廷魔導師のカノープス・メトリアが来るらしいよ」

「ああ、あいつなら王宮からここまでひとっ飛びだな」


ほほう、王宮には転移出来る魔導師がいるのかぁ~それは凄いね。それより何気にギルドマスターの交友関係が凄いんだけど....。もしかして王様とも面識あるんじゃない??まぁそれはともかく、


「それなら花が枯れる前に取りに来れますね」


せっかく採取してきたのに薬草として使えなかったら意味がないもんね。


「....花が枯れると不味いのか?」

「そうですね。涙花は枯れると薬効成分が失くなるみたいなので枯れる前に薬にしてしまわないと意味がないですね」

「なんだと.....?」


ギルドマスターだけでなく、辺境伯も驚いた顔をしている。あれ?もしかしたら知らなかったのかなぁ??でも薬にする方法があるんだから知らない訳ないと思うんだけど.....


「あ、ああそうか。私は実際に薬を作る訳ではないので知らなかったが薬師は知っているのだろう....だからカノープスが取りに来るんだな」


そうか。私は鑑定が使えるから詳細がわかるけど普通はその専門家しかわからない事もあるのか。


今後は発言にも注意した方が良いかな?











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