第67話 レグルス辺境伯家・2

執事のセバスチャンさんに案内されて屋敷の中に入った瞬間、某夢の国のホテルのような豪華さに圧倒される。


うん、私完全に場違いだよね!?


足が止まりアワアワする私に気がついてギルドマスターに手を掴まれてセバスチャンさんに付いていくと応接室のような場所へと案内されてソファへと薦められる。


「ご主人様はまもなく参りますので此方で暫くお待ち下さいませ」


そう告げて綺麗な一礼をし、セバスチャンは部屋から出ていった。どうしたら良いのかわからずギルドマスターを見上げると勝手知ったるなんとやらか、何の遠慮もなくソファへと座るので私も大人しくギルドマスターの隣に腰を下ろした。


メイドさんがすかさずお茶を出してくれたがこの状況の中で平然とお茶が飲める程心臓に毛は生えてないんですよ....?


対して平然とお茶を飲んでるギルドマスターに若干イラッとする。


「よくこの状況の中でお茶が飲めますね....」

「お前は逆に緊張し過ぎだ.....別にとって喰われる訳じゃないんだぞ?」


呆れた顔してギルドマスターが私を見る。


「それはわかってますけど....お貴族様に会うのに緊張しない平民は居ないと思います!」

「はぁ~.....だから俺が態々一緒に来たんだろう?心配しなくても今の辺境伯は家を継ぐ前からの俺の知り合いだから心配しなくても良い」

「え?」


まさかの辺境伯とギルド関係なしの知人?


「まぁ俺がまだギルドマスターじゃない、冒険者として活動してた時からだから安心して良い。それにアイツは俺に借りがあるからな」

「.....そう言う訳だから変に畏まらなくても大丈夫だよ」


急に第三者の声が部屋の入り口から聞こえ慌てて振り返ると背の高い金髪碧眼の美丈夫が居た。


「遅くなって済まないな」

「これはこれは辺境伯殿、お忙しいところ時間を取って頂き申し訳ありません」

「.....シリウス、お前な.....」


ギルドマスターのいきなり畏まった挨拶に辺境伯は呆れた表情を見せながら対面のソファへと腰を下ろすとすぐさま辺境伯へもお茶の用意がなされた。


「冗談だ。それで早速だが辺境伯家が出した "ドラゴンの涙花 " の採取依頼をここに居るリンが受ける事になったから詳しい詳細を聞きに来たんだ。流石に領主の屋敷に1人で行かせるのは可哀想だから俺が同行した。あ、因みにリンはこれでも立派なDランク冒険者だから依頼受諾に問題はないからな」


ギルドマスターが詳しく説明してくれるので私の出番はないようで有難い。


「リン、一応挨拶しておけ」

「はい。Dランク冒険者のリンです、宜しくお願いします」


頭を深く下げるだけの礼だが平民だからオッケーだと思う。まぁ貴族の礼をしろと言われても当然出来ないけど......。


「私はヘンリー・レグルスと言う。この地方一帯を治めていて辺境伯とも言われている。宜しく頼むよ」


笑みを浮かべてこんな子供相手にもちゃんと自己紹介をしてくれる辺境伯は余程懐がデカイのだろうな。



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