第45話 美味しいは正義

3体のホワイトバードを無限収納に入れ、メントスの冒険者ギルドに戻れば態々アリオスさんが出迎えてくれる。


「随分早かったのね。でも貴方の事だからちゃんと仕留めて来たんでしょ?出来ればギルドにも素材を売ってくれると有り難いんだけど......どうかしら?」


アリオスさんが頭を下げてギルドマスターに頼みこんで来ると、ギルドマスターはまさかの私に全投げしてきたのだ。


「ホワイトバードの所有権はリンにあるから、リンに頼め」

「え!?」

「リンちゃん!駄目かしら......?ほんの少しで良いのっ!!」


ん~……羽根は全部欲しいし、お肉も美味しいってギルドマスターが言ってたから出来れば保存しておきたいけど....確かに3体分のお肉は多いよねぇ......1体でも多そうだし......


「あの、羽根は全部欲しいのと、お肉1体分は持って帰りたいのでそれ以外なら全部ギルドに買い取って貰っても大丈夫です」

「本当に!?ありがとうリンちゃん!!じゃあ早速解体しちゃいましょうか!こっちが解体場所よ」


私がそう言った途端凄く嬉しそうに、スキップでもしそうな勢いで解体場所へと案内するアリオスさんに、ギルドマスターと顔を見合わせ苦笑する。


「それにしても、そんなにギルドに売って良かったのか?」

「私が欲しかったのは羽根がメインだし、お肉はギルドマスターが美味しいって言ってたから食べてみたいなって思って....でもさすがに3体分のお肉は多いと思って......」

「確かに1体でも相当な量の肉があるからな」


ギルドマスターやマリッサさんに振る舞っても多分全部消費するには時間が掛かるだろう。


「それに、足りなくなったらまた来れば良いかと思って」


メントスの街に来る行程は今回ギルドマスターが同行してくれた事で注意しないといけない事もわかったし、次からは1人でも問題ないだろう。


「それもそうだな。けど肉が食べたいからって自分で狩りには普通は行かないからな?」

「そうなんですか?え、じゃあ普段冒険者の人達って狩った魔獣はどうするんですか?」

「基本的にはそのまま全部買取りに出すだろうな」

「依頼以外で狩った物もですか!?」

「そうだな」


何て勿体無い!!自分で食べるって習慣がもしかしてない?


「せっかく美味しいお肉を食べるチャンスなのに勿体無いです!」

「.....いや、肉より金が欲しいからだと思うんだがな......そうか、お前は食欲の方が勝つわけか」

「当たり前ですよ!美味しいお肉は正義です!!」


キッパリ言うとギルドマスターが大笑いする。

え~……そんなに変な事言ったかな?私.....


「た、確かに旨いものは正義だな....ははっ!」

「そうですよー」


それだけは譲れないな、うん。





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