第29話 (姉さん)事件です!
それは私がギルドの所持している寮、冒険者ギルドの建物の3階に引っ越してから1週間程経った頃、何時ものように朝から森近くの草原地帯で薬草採取をしている時にそれは起こった。
Cランク相当の数十頭のシーフウルフが突然森の中から飛び出して来たのだ。周辺で私と同じように薬草採取をしていた新人冒険者の少年少女達が慌てて立ち上がり逃げようとしているがシーフウルフは逃がすつもりがないのか、回り込もうとしている。
「ちっ......何て馬鹿なことを考えたのかしら!ウインドカッター!」
次々に他の冒険者に襲い掛かろうとしているウルフを風魔法で倒していくも、あまりに数が多すぎる。
実はギルドに引っ越した次の日辺りからここ1週間程誰かの視線は感じていた。けれど手を出してくる雰囲気を感じなかったので様子見をしていたのだ。
まさかこんな馬鹿な事を考えてたなんて思いもしなかったわよ!本当に馬鹿なんじゃないの!?
「ファイヤーボール!」
「ウインドカッター!!」
私以外の新人冒険者がCランクのシーフウルフを相手に戦える訳もなく、私がやらなければここに居る子供達が死んでしまうじゃないよ!関係ない子を巻き込むなんて信じられないわ!!
「あ~!初級魔法じゃ追い付かないっ!!仕方ないっ、エアブラスト!!」
半分以上は倒した筈。それでもまだ10頭は残っている。こちらの様子を伺いながら飛び掛かるタイミングを計っているようだ。そこに風魔法の中級をぶちこんでやれば、残りは後4頭程になる。
流石にシーフウルフも仲間を沢山殺されて慎重になってるのか、ジリジリとこちらを見て動かない。と、その瞬間森の中からいくつものファイヤーボールが放たれた。
" 私に向かって "
シーフウルフに集中してたのが不味かった。まさかシークウルフを誘導するだけじゃなく、戦闘中に冒険者に向けて魔法を打つなんて流石の私も予想外よ!?
慌ててファイヤーボールを避けるもその瞬間を見逃すシークウルフではなく、私に飛びかかってくるが避けきれずその鋭い爪が私の肩から腕を服を切り裂き抉るように掠めていき、血が飛び散った。
「つーっ!!」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
あまりの痛さに本気でいい加減頭来た!!
「エアブラスト!!!」
私は中級風魔法を残りのシークウルフと森の中、両方に叩き込んでやった。
その瞬間シークウルフの断末魔と森の中から女の悲鳴が聞こえて来るが私は全く何とも思わなかった。
「リン!!」
「リンちゃん!!」
いつの間にかシークウルフから助けた冒険者の少年の1人がギルドに知らせに走ってくれていたようで必死に走って来るギルドマスターとマリッサさんの姿が見えた。
けれど私が覚えているのはそこまでで、シークウルフにやられた怪我と魔法を際限なく一気に使った為なのか、気を失ってしまったから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます