第5話 「納品対象の観察」
あれからビルを出ると外にはリムジンが待機しており、それに乗り込んで買い物に連れていかれた。
姫乃は新しいワンピースを買い、私もブランド店で細身の黒デニムに黒のオフショルニット。
ウルフカットの髪形はアイロンで緩く内巻きにされ、腰まである後ろ髪はクルクルになった。
ピアスはロングタイプ、ネックレスはプラチナ、メイクは気持ち程度のファンデにつり目アイラインを引かれ、アイシャドウは目頭の方はシンプルにラメをちりばめ、目じりは赤。
涙袋もラメを引かれる。
口紅は遠慮し、ただのリップを塗るのみで終わらせた。
姫乃はゴリゴリのホス狂いファッション、私は姫乃曰くミステリアスかつ魅惑的らしい。
食事には20時頃行き、22時過ぎたころ店を出て姫乃の担当のいる店へ行きたいと言い出した。
まぁ、予想通りなので近くにあるという店へ歩きで行く。
目的のビルにつきエレベーターで上がると扉が開いてすぐに受付があった。
姫乃は常連らしく担当であろう男の人が出てきて話をしていく。
別々に座らせられるのかなって思ったが
「百鬼様、お待たせしました行きましょう」
いかにもVIPとわかる席に行き、右端には姫乃の担当、姫乃、雷夢の順で座る。
そこからはBGMがうるさいのと二人は自分たちの空間で楽しんでるし、こっちの隣には次々と交代でいろんな人が座るので、適当に受け答えしながら過ごしてた。
◇
30分くらい経ったころだろうか、担当が少しごめんねと言い席を立つと姫乃の機嫌が急降下。
ヘルプの子が来て話すが持ち直すことなく怒り出す。
挙句の果てには帰ると言い出したところでようやく担当が戻ってきた。
すると上機嫌で話だし、何やら話したかと思うと担当が何故か私の方に話に来た。
「ナーキリさん、姫と話してたんだけど何か入れてほしいなって話になったんだけど、ナキリさんと決めてって言うんだよね」
なんでそんなことになってんの?
姫乃を見ると何か言いたそうだ。
『姫乃はどうしたいの?』
「そうですね…アフターしてくれるならボトル入れてもいいかなって思ってます」
『だそうですけど、どうですか?』
そう聞けば、ボトルの金額によってはOKだと返事をもらったので姫乃は上機嫌。
ルイ13世を1本入れ、オールコールで全員集合し、マイクでは遠回しに被りへのマウントを取りアフターをゲット。
お持ち帰りが確定したようなので、担当が席を外した瞬間に小声で耳打ちをしたところ予想通りの答えが返ってきた。
そうと決まれば準備が必要。
家の鍵を受け取り、先に行っていつでも決行できるようにしなければいけない。
自分の分であろう会計を貰い清算を済ませる。
自分についてた男が慌ててついてくるので、店を出たところでごめんねの意味を込めて10万チップとしてワイシャツの胸ポケットに入れてさよならした。
◇
さて、先に出てきた私は今日この後の予定のため準備を進めていく。
都心に人間1人を拉致監禁して隠すのは皆が思ってるよりも以外に簡単で難なく実行できる。
このことに気づいてる人はどのくらいいるんだろう?
まず、そんなことを考えている人がそうそういないんだろうけど…
そんなことを考えながら歩いてると目的のマンションに到着し、エレベーターに乗り込んで指定された部屋へ向かう。
部屋につくと鍵を開けて中に入り窓を確認。
リビングから始まり中は一般的な普通の一室。
このマンションは部屋が特別ということはなく、この建物全部が特殊な造りになっている。
全室防音加工になっており、セキュリティもなかなかにしっかりしていて駐車場は地下にありエレベーターで下から上まで直で行ける。
見た目は普通だが中身を見てみると全てが特別製の建物。
極めつけは住人が全員そういった趣味を持ってる人たちのみが住んでいるのだ。
やべぇ奴がやべぇもん持ってんなぁとか思いながら寝室に入り、ベッドに拘束用の鎖や手錠を準備し、その他の物もクローゼットや引き出しに入れていく。
自分が頼まれたのは物品の準備と対象の捕獲。
ここに到着するまでにはまだ時間がかかることは確実なので、残りの数時間どう過ごすかなぁと考えを巡らせた瞬間
ガチャガチャッ バンッッ!!!
突然、乱暴にカギとドアが開いたと認識したときには姫乃が部屋に飛び込んできた。
涙でぐちゃぐちゃにななった顔でこっちに寄って来る。言っちゃ悪いがすごいブス。
すっぴんは別人だなぁ…とぽけっとソファに座ってると
「百鬼様っ、彼が酷いんです、アフターに…行かないって!!!」
『……会計した?』
「そんなものどうでもいいんですっっ」
ショックのあまり飛び出してきた系だなコレ。お店側も災難だなぁ。
べしょべしょに泣きながら彼と一緒にいたいのだと騒ぐ姫乃に、今から連れてくるからと思いついた作戦を伝えて外に出る。
目的地は先ほど出てきたホストクラブへ。
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