秋月雷夢という人間

イヴ

第1話 「青色の薔薇」


私の見てる日々の景色はほぼ全てが白黒で色が無い。


でも、別に私の視覚異常とかそういう事じゃなくて精神的なものだ。

いつだったか、物心ついて少しした頃から人や物への興味はさほど無かったと思う。


小学生の高学年になる頃には自分が他と違うことを認識。

両親が死んでから遺産がなかなかの額が入ったから金銭面で苦労はないし、人間関係に関しては私なりの繋がりを持ってるので別に不便は無い。


つまらない毎日。


そんな日々にうんざりしながら、今日もつまらない日常へ向かう。



ジーパンにオーバーサイズのパーカーを着てリュックを背負い外へ。


受験が終わった今、もう登校する必要性が無いので最近は自由に遊び回ってる。

今日は昨日購入した小説を読もうと思い、ここ数日入り浸ってる神社に向かう。


いつも何も感じない道のりなのに、なんだか少し違う感じだ。


普段より幾分か速い心音を感じながら、早足で石段の前に差し掛かったその時


「えっ…?」


石段を勢いよく駆け降りてきた人と鉢合わせした。

びっくりして思わずその場で固まってると、目の前の人はヘタリと崩れ落ちる。


え?私ぶつかった?

なんも無いよ、触れてすらないもん。


なんだなんだとテンパってると、その人はなんとか立ち上がろうと頑張ってるが力が入らないのか一向に立ち上がれる感じがしない。


血の匂いがする。腕を怪我してるの?

すごく焦ってるようにも見えるけど…


蒼白い顔に離れててもわかる程の血の匂い。

貧血を起こしてるのか、走った以上に息が切れてるのだろう。


私は他人と関わることは苦手だ。

相手が何を考えてるのかわからないし、興味もほぼ無い。

いつもだったら知らぬふりをして立ち去るけど今はいつもと違う、初めて人に興味が出てる。


この人のことがすごく気になる。もう少し一緒にいたいとすら思う。

でも、私はこの人と今この瞬間が初めましてだ…

初対面でさらにこの状況で人になんて声かけたらいいの?



※一目惚れ※






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