反撃の時
俺はイズナとイナリの兄妹を伴って、ニンジャ屋敷という名の要塞まで戻った。
このコンクリート製のおまんじゅうみたいな要塞をニンジャ屋敷と呼ばないといけないのが、何とも納得いかない。俺の頭脳が本能的に理解を拒否する。
さて、それはともかくこの兄妹の戦力はたいしたものだ。ポトポトの妖怪よりは、よっぽど頼りになる。
主に性格の面で。
「……今帰った。危ない所であったが、全面戦争は避けられたと思う」
イナリは反省してまーすとばかりに「うーっす」と気のない返事をする。
「なにがうーっすじゃ」
「だまらっしゃい!!!!」
周りのニンジャ、何か言うたびに「だまらっしゃい」されてるな。
もはやいる意味があるのかどうか怪しい。
「……さて、まずは説明が足らなかったな。我々の状況、そしてこれからしようとしていることを説明しよう」
俺は世界会議での出来事。そしてセカヘイがポトポトで行っていたことを説明する。そしてセイを窓口に、奴らに大量の献金をもっていき、ファーザーとの接点を得ようとしていることも説明した。
「むむ、鉄の人よ、『挑戦人』になるというのは、それほど単純ではないぞ」
「……どういうことだ?」
俺に詳しい説明をしてくれたのはイナリだ。
武闘派に見えるが、かなりきめ細かい情報調査をするタイプのキツネさんだった。
キツネは見かけによらないな。
「おヌシのいう『挑戦人』とは、セカヘイの初期メンバーとその家族だけがなる者だ。おそらくそのセイという者、口を滑らしたな」
「……というと?」
「おヌシのような
なるほど、つまりセイは初期メンバーの家族なのか。
ん-、ひょっとして奴は、人質としての価値もあるのかもしれないな?
「……だが、なんだ?」
「名誉挑戦人は、他の者たちと競い合うことになる。金、力、名声、あらゆるものが評価の対象になるのだ。信用の無いおヌシでは難しいであろう」
「ポトポト王というだけでは不足なのか?」
「不足ではない、が、目本と深いつながりがあれば、なお良い」
「……なるほど、つまり目本に何かしらの経済基盤が必要という事だな?」
「左様。」
「……なるほど、しかしいちいち産業を興しては時間がかかり過ぎる。そうだな……、ここは敵対的買収といこう」
「ほう?」
「ヤクザマンから奪う。奴らはテンバイ=ギルドや、フロント企業を数多く持っているのだろう?連中から奪って力を示すのだ」
「これはヤクザマンとつながるセカヘイの弱体化にもつながる。ヤクザマンの持つ物を取り上げれば、次第に目本の全てが正常に動くようになるだろう」
「なんと身の丈知らずで、なんと向こう見ずな計画か!!」
「……嫌いか?」
「いいや、最高だな!やってやろう!!!」
「イナリよ……」
「なんだ長老サン、いまさら口を挟もうってのかい?」
「いや、そうではない。おヌシが必要と思うのであれば、自由市場にある名刀、シュリケンは全て使ってよい」
「……なかなかに気前の良いことだ。よし、いくぞ、反撃の時だ」
「「おー!」」
まずは手始めに、テンバイヤーから片付けるとしよう。
この計画にはちょっとした出資が必要だ。
なので俺はシンシアに、とある計画を持ち掛けることにした。
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