聖閾
見えるものを信じすぎる
見えないものに夢を見すぎる
世界は汚いもので満ちている
ということ自体はちゃんと理解していた
けれど世界は綺麗なものでもできている
ということを納得しすぎていたのだ
得てないものはよく見えるのに
得ているものはよく見えなくて
見ているものと見えるものは違う
見たいものしか見ない
見たくないものが目に入ると怒る
“君は僕たちが考える在り方で在らねばならない”
いつだって望まれたことしか望めない
これまでは気づかないでいられたことだった
けれど今はもう気づいてしまった
だから気づいてしまったなら
気づかなかった頃にはもう戻れない
見えるものを信じすぎる
見えないものに夢を見すぎる
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