悪役令嬢ですって? おーっほほほ! 寝言は寝てから言えですわこのクズどもがぁっ!
流花@ルカ
みなさん いきますわよ!
ごきげんよう皆さん。
わたくしの名前は……まぁそんなことどうでもいいですわね。
只今、王国の舞踏会の会場へ向かっているところですわ!
え? なにしにいくのかですって? 舞踏会場へ殴り込みに行くに決まっているではありませんか!
はい? 舞踏会は踊りに行くところだ? 武闘会と勘違いしてるんじゃないか?
おーーーーーっほほほほ! このわたくしが! そんな愚かしい間違いなどするわけがありませんわ!
間違いなく舞踏会へ殴り込みにいくんですわよ!
まぁお聞きくださいな……この国の王太子のクズ野郎なんですが、隣国のかわいい皇女という婚約者がいながら、どっかの貴族の令嬢と浮気しやがってるんですのよ!
ホント、クズの上にバカだと日ごろから思っておりましたが、これほどまでだとは呆れ果ててしまいましたわ。
そんなクズが今夜の舞踏会で、皇女に婚約破棄するっていう情報をつかみましたの。
こんなバカな話がありますか! 百歩譲っても、破棄するなら隣国の方からに決まってるでしょうに……まぁこれ以上国をまきこんで大ごとになる前にわたくしが鉄槌を下すことにいたしましたのよ!
あぁ、着いたようですわね。
それでは皆さん、殴り込みますわよ!
◆◇◆
「ウァルスギーネ、貴様はスゴーウィー帝国皇女という立場にありながら身分を振りかざし、我が国の貴族令嬢を虐げた! この一件は国家間の軋轢を生みかねない非常に重大な事件である! 故に……」
「お黙りなさい愚か者がっ!」
その言葉と同時に王太子の後頭部に向かってスコーーーーン! と閉じた扇が突撃した。
「うぐぅぅぅっ!」
「きゃああああ 王太子殿下ぁぁぁ」
王太子の横で腕に絡みついていた、なんとかいう貴族令嬢が悲鳴を上げる。
「はぁ……
そう命令すると、心得たとばかりに警護をしていた騎士が女狐を連れ出してくれましたわ、あとで騎士団に労いの差し入れでもしておきましょう。
「おい!手荒な真似すんな!」
とかほざきながら取り巻きの
「うぐ……おまえ……何の権利があって彼女を連れ出せなどと……」
しゃがんで後頭部を押さえて涙目になりながら恨み言をはかれても、屁でもありませんわね。
「はぁ? それはこちらのセリフですわね! たかが王国の王太子が帝国の皇女に向かって何をしておりました?」
ふん、と鼻で笑いながら上から見下げてやりましょう。
「あ……貴女はただの公爵令嬢ではありませんかっ! 王太子殿下に対してなんと無礼な! 騎士たちはなぜこの女を捕縛しないのですか! 不敬罪ですよ!」
「
「……はっ? 何を言ってるんです貴女……気でも触れたんですか?」
「はぁ……自分の無知をさらした上にアホづらまで衆人に披露するなんて、お父君の宰相がかわいそうになってきますわねぇ」
「なっ……! 父上は関係ないだろう!」
「ないで済むわけがありませんわよ、貴方達『クズご一行様』が国王主催の舞踏会の会場で、私情丸出しで隣国である帝国の皇女に、むりやりひねり出したようなしょうもない理由で婚約破棄しようなんて一万五千年早いってもんですわよ!」
ほほほっと高笑いをかましつつ、いつの間にクズその5になったのかしら? うちの義弟に冷ややかな目線をくれてやりましょう……あらまぁ真っ青な顔でプルプルと涙目になっておりますわね。
ん?なにやら首を横に振っておりますが、なんのジェスチャーでしょ?
「義姉上っ! 僕が必死で止めてたの見てなかったのっ!? 僕までこいつらの仲間あつかいするなんてやめてよーー!」
あらあら……本格的に泣き出してしまいましたわ……まぁよく考えたらわたくしが、幼いころからみっちり養育したあの義弟が、わたくしの意に沿わないような馬鹿な真似するわけありませんでしたわね……うっかりうっかり。
『あーあー、泣かしたー!』 ですって!? わざとではありませんわ! 事故ですの!(キッパリ)
「オホン! もちろんわたくしの義弟がそんな真似するなんて思っておりませんわ!」
ジトー……っとわたくしを見ている義弟はとりあえず置いておきましょう。
「とにかく! 皇女の方から浮気したクズ野郎なんて婚約破棄してやるというならわかりますけど、なぜ浮気クズ野郎がいい気になって国王主催の舞踏会をぶち壊しにしているのか理解に苦しみますわね!」
「ぶち壊してるのは義姉上もじゃないの……?」
「……ダマらっしゃい! とにかく! 寄ってたかって皇女一人をこのような衆人の前で糾弾した罪は重いのですわ!」
「おねぇ様……」
ずっと黙って下を向いていた皇女が、うるうると涙をためた目でわたくしを見上げていますわ! とーーーーっても可愛らしいですわね!
「ウァルスギーネ、つらかったでしょう? わたくしが来たからにはこんなクズ共の好きにはさせませんわ! 安心なさいね」
安心させるために、頭を撫でてウァルスギーネに微笑んで見せますわ。
「おねぇさまーーー 怖かったーー」
そう言いながらウァルスギーネが抱き着いてきましたの、そのまま背中を撫でて落ち着かせてあげましょうね。
「いや……ウァルスギーネ殿下そんなキャラじゃなかったよね……」
泣いていたウァルスギーネが義弟の方を見ているようですわ、どうしたのかしら?
ん? 義弟の顔色がまた青くなってるような……気のせいかしらね?
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