ざらつく心 どうしたら良い? なぁ……
「恭介さん……ラーメンと餃子で良いですか? 僕は味噌ラーメンにトッピングはコーン大盛りとメンマ大盛り、それから餃子にしようっと。すいません! 注文お願いしまーす」
ふと、年下上司林田の横顔を見る。色白で少しぷっくり為ている頰。可愛い……何時からかそう思う事が多くなっていた。
拙いぞ。久々に腹の下辺りに熱いものを感じている。何を血迷っているんだ? 俺は。
一生懸命話してくれている彼の声に、うんうんと相づちを打ちながらこの感覚に俺は戸惑っていた。
「恭介さん! 聞いてます? ねぇ」
「うん? 聞いてますよ……ちゃんと」
「じゃなに話したか言ってみて」
唇を尖らせるなんて反則だよ? いやいや俺が過剰反応しているだけだ。
「ほら! 聞いてない! 罰として残業に付き合って貰います! なんてね」
「良いですよ。上司命令と言うことなら喜んで残業させて頂きます~」
「えっ? 嘘、嘘ですよ!」
馬鹿か俺は? 自爆寸前だろうが。
午後から若き上司は、外回りに出かけて行った。
俺は膨大なデータ入力を淡々とこなして、気がつけば終業ベルが鳴っていた。
彼はまだ帰社為ていない。
「恭介さんはまだ帰らないの?」 「はい、あと少しなので終わらせて帰ります。お疲れ様でした」
三十分も経つと、人が一気にいなくなる。俺の打つキーボードの音が響くだけだ。
カチャッ……扉が静かに開く。上司のご帰還だ。
「お疲れ様でした! 遅かったですね。何か問題でも?」
「あっ! いえっ! 恭介さん! びっくりした! もしかしてお昼の事を気にし……」
「そうですよ……怖い上司の命令ですから……なんてね、いや私も仕事が残ってしまって。だから気にしないでください」
「あの……僕あと一時間ぐらいかかるんですが、待っていて貰えますか?」
「お手伝いできるものがあれば、させて下さい」
「本当ですか! じゃぁこれお願い為ても……見積書なんですけど」
「お安い御用です」
資料を受け取る時に触れた指先に顔が熱くなる。クッいい年を為て……。
あの人を失なった俺に、もうこんな感情は起こりえないと思っていた。
「恭介……俺を求めすぎるな。今までの恭介は俺だけのものだ。でもこれからは新たな出逢いを楽しめ……」
そんな事に無理に決まっている。あの人のいない日常に慣れない俺は、生きる事に執着をなくし、心は虚ろに彷徨い続けていた。
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