彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)

YAYOI99

第1話 天国か地獄か!?龍星軍のバカンス!!~前編~ (1)






好きな人の肩越しに風を受ける。






「晴れて良かったな、凛!」


「ですよねぇー♪」






バイクを運転する瑞希お兄ちゃんが、ミラー越しに話しかけてくる。


これに、半ヘルメットをかぶった私が、首を縦に振って答える。






みなさま、ごきげんよう!


龍星軍4代目総長の凛道蓮です。


本日僕は、瑞希お兄ちゃんとバカンスなんです。







「つーか、晴れすぎじゃねぇ~凛たん?」


「あーん、後で日焼け止めを塗り直さなきゃ!凛ちゃんにもぬってあげるからね♪」


「少しは日光を浴びておかんといかんぞ、凛道。体内と食物からとれないビタミンが、太陽の光によって体に吸収されるのだからな。」


「わははははは!海に凛助を投げ込むのが楽しみだぜ!!」


「馬鹿!入るの間違いだろうが、皇助!!心配するなよ、凛!お兄ちゃんが守ってやっからな?」


「あ、ありがとうございます・・・」





訂正。


残念ながら、+@付きですけどね。




〔★2人きりとはいかなかった★〕





学生が夏休みを迎えたということで、連日大忙しの僕を癒すため、瑞希お兄ちゃんが旅行を企画してくれたんです。






「瑞希お兄ちゃん!行き先って、どんな場所ですか?」


「良いところだぜ~?俺らは前に来たことある。なぁ、烈司。」


「そーゆーこと♪」




瑞希お兄ちゃんに名前を呼ばれたのが宗方烈司さん。


初代龍星軍の親衛隊長で、瑞希お兄ちゃんとは大親友の幼馴染!(うらやましい!)


現在は、元ヤンを卒業して(?)占い師をされています。


占いだけじゃなく、条件が合えば、お祓いや霊視・透視もできるすごい人です。






「もう、抜け駆けなんだから2人共~今夜のお宿は、イオリン常連の高級旅館なのよ~♪」




口をとがらせつつも、ニコッと笑うのが朝霧モニカさん。


初代龍星軍の遊撃隊長で、瑞希お兄ちゃんの親友のオネェさん。


現在は、ファッション関係の専門学校に通いながら、ネットで服や雑貨の会社を経営してる人です。


見た目が俳優でも、メンズモデルでもおかしくないけど・・・心は女の子なのです。(ちょっともったいない・・・)





「ふん、常連とまではいかん。季節の折には、たずねているぐらいだ。」




鼻を鳴らしながら、クールにそっけなく答えるのが獅子島伊織さん。


初代龍星軍の副総長で、瑞希お兄ちゃんの親友のお兄さん。


現在は大学生・・・それも現役で東大に通う超インテリの頭の言い方です。


ただし、怒らせると大変危険で怖く、大学では一般人に化けているそうです。(バラすと恐ろしいお仕置きがあるみたいなので、これ以上は言えませんが・・・)






「わははははは!よく言うぜ金持ちが!どうすりゃ、そんだけ貯めこめるか知りたいもんだぜ~!!」




そんな仲間の言葉を豪快に笑い飛ばすのが百鬼皇助さん。


初代龍星軍の特攻隊長で、瑞希お兄ちゃんの親友の鬼・・・いえ、お兄さんですね。


整備士をしていて、僕のバイクも彼が作って(!?)くれました。


社会人をちゃんとしてるのかと思えば、合コンあらしや、夜の街に縄張りがあったりで・・・肉食系にして、女癖が悪いそうです。(どちらかといえば、野獣だし・・・)




このメンツで向かうのは、夏の海辺&温泉リゾート!






(私達を待っているのは、サファイアのような海~♪)




だけじゃない!!かもしれないんですよねぇ~♪






「凛、あんまり浮かれて、ケツから落ちるなよー?」


「はぁーい、瑞希お兄ちゃんの後ろから離れませーん♪」






瑞希お兄ちゃんのバイクに乗せてもらえたことも嬉しいけど~






「その様子じゃ、昨日寝てないだろう?今夜は爆睡だな~?」


「いえいえ、そんなぁ♪寝てますよっ~だって~♪」





そうなんです!





「せっかくのお泊りなのに~先に寝ちゃうとか、夜のイベント楽しめませんよー♪」




そうなのですよぉ~♪


お泊りでなんです、今回の旅行は!!










「凛、来週の月曜から水曜までの平日はヒマか?」


「え?」






そう言われたのは、夜店のお手伝いを終えて帰る車の中でした。


その日のメンバーは、瑞希兄ちゃんと私と烈司さん。


運転する烈司さんと、その助手席に瑞希お兄ちゃんがいた。


私は瑞希お兄ちゃんの隣になれず、仕事の疲れも重なって凹んでいた時だった。






「来週の平日ですか?」



(なんだろう・・・?)






疑問一杯の気持ちで聞き返せば、ニコニコしながら瑞希お兄ちゃんは言う。






「ほら、俺の仕事、土日と週末が稼ぎ時なんだよ~夏休みも関係なしで忙しくてよぉ~休みとろうと思ったら、平日しか無理でなぁ~」


「意外だなぁ~瑞希。有休まだ残ってるのか?凛たんや瑞希姫の件で、結構休んでたじゃねぇか?」


「次、姫って言ったらぶっ飛ばすぞ!?」


「はははは!ウソウソ~そんで?よく3日にも休ませてくれたなぁ~?有休か?」


「バカ!俺は有給、使ってないんだよ!」


「有休?・・・って、なんです??」


「有休っていうのは、勤めて半年たったらもらえる、休日でも給料がもらえる休みのことだよ。知らないのか、凛?」


「初耳です!へぇ~便利ですねぇ~」


「労働者の権利だから、覚えとけよ!上限までたまったら、あとは使わないと消えていく不便なもんだからよ。」


「使ったもの勝ちですね。」


「そういうこと!」


「それを瑞希お兄ちゃんは、凛たんのために使ってたんじゃねぇのか?」


「だから、使ってない!こういう時の時のため、とっておいてんだよ!有休は最終手段みたいなもんだから~可能な限り、休みを帰る時は、先輩や後輩に無理言って、交換とか、交代してもらってたんだ!」


「はは!そりゃあ、賢い使い方だ。無駄遣いは出来ないもんなぁ~」


「無駄ってなんだ!無駄って!?これまでの凛のピンチが大した危機じゃなかったっているのかよ!?」


「わーった、わーった、悪かった!耳元で騒ぐなって!」


「冗談でも言うなボケ!!てことで、いいよな、凛!?」


「話がまったくわからないんですが・・・」






首だけで振り返りながら聞いてくる愛しいお方に、引きつる顔で聞き返してくる瑞希お兄ちゃん。






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