三年目の告白

興梠司

第1話 卒業式

新妻高校で卒業式が行われていた、キャピキャピした生徒たちが高校を卒業する事を楽しみにしていた。教室に生徒が全員戻ると教師の坂上が生徒を笑顔で迎い入れた。

「みなさん卒業おめでとうございます」といって頭を下げると生徒たちは「ありがとうございます」と声を揃えて言う。「私は10年先生をやっているがこんなに自殺者が多いクラスは初めてだ、ここ三ヶ月で何人の生徒がこの校舎から飛び降りた?」

この学校で三ヶ月で四人の生徒が自殺している、その中には坂上の

娘も入っていた。娘が自殺した日坂上も死のうかと考えたがそれだと困る人間はいっぱいいると思いお越し自殺するのは辞めた。「私は誰が自殺に追い込んだのかを知っています」生徒たちは黙って坂上の話しを聞いている、みんながみんな思い当たる点があるので発言出来るわけもなかった。

「今から自殺に関わってる人はこのロープを首をつってもらいます」

坂上は昨日の夜教室に自殺ができるロープで自殺台を作った、泣き出す元生徒も居たが坂上には関係なかった。教師生活に区切りをつけるためにもやっておかなければいけない儀式だった。教室から逃げようとする者もいたが接着剤で出入り口は塞いであるので出ることは出来ない。

「人を自殺に追い込んでおいて自分たちはなにもできませんで済むと思っているんですか?」


「死んだやつには申し訳ないけど死んだやつは意思が弱かっただけだろ」と元生徒が言う「では君は意思が強いと?このロープに首をはめれるくらい簡単だと言うことですね」「それとこれは別だろう」と言って開いてる椅子を蹴り飛ばした。そこには一ヶ月前まで座っていた生徒がいた。元気でいじめられてる子がいるのであれば助けるような正義感にあふれた男の子が座っていたがもうこの世には存在しない。その子を殺したのはこのクラス全員だった。誰かが屋上まで行き腹パンを加え意識をなくし

屋上から落とした。それを知ったのは娘が生きてた時に教えてくれた。

「最近の自殺全部自殺じゃないよ」と「お母さんのクラス全員関わってるよ」と言っていた。最後に殺されたのは坂上の娘だった。チンコロがバレたとかそういう理由ではなく、このクラスは殺すなら誰でもよかった。殺すことに快感を覚えていた。

次に誰を殺そう、次は誰々がいいと授業中にも話していたのだ。

「はやくこのロープに首を括りなさい」と坂上が怒鳴ると一人の生徒が「わかったよ」と言ってロープに首を括ろうとすると女子達が「もう辞めて」と泣き叫ぶ、

「じゃあ俺は先に逝くけどみんなあっちでまってるから」といって首を括った。

坂上は生徒の脈がないことを確認し、後ろにひいておいたビニールシートに移動させた。「次は誰?」「私が行きます」とさっき首をつった男子の恋人が手を上げた。

「女子なのに勇敢なんだな」「あの人がいない世界で生きていこうとは思わないないので」「わかった、椅子の上に立て」「なにないちゃんダメだよ」という女子たちの友達ごっこが始まる、女子が一人でも死んでしまったら自分たちもやらなければいけないことになるので止めるのに必死だった。

そんなのはどうでもいいと思った坂上は「早くしろ」といって首をくくらせ先程と同じく脈をとりブルシートに乗せた、見た目はマグロの解体ショーみたいにならべてある。「次は誰だ」「もういないのか」と言って椅子に座った。

「時間が経てば私達は開放されるとか思ってるんだろうけど

それはないね、携帯の電波見てみな」 この学校は圏外にされていて誰とも連絡が取れない状況になっていた。それを知った女子生徒は先程よりも大きな声で泣き叫んだ。「こんなのいやだ。先生間違ってるよ」と坂上は失笑し「なにが間違ってるんだい」と聞いた。「こんな人殺しみたいなことしていいと思ってるの?」

坂上の失笑が続く「自分たちは人を殺してるくせに、先生にはこういうことしていいんですか?と聞いてくる、おかしな話じゃないか」

「先生は自分の娘も誰かに殺されたと思ってるんでしょ、あれは本当の自殺だよ」


「私に娘の自殺が本当か嘘かなんてどうでもいい」「お前から首くくるか」

といって坂上は女子生徒の髪の毛を引っ張り椅子の上に立たせた。

「やめてー」という泣き声とともに椅子をずらすとその生徒は息を引き取った。

もう坂上に何もいう生徒は居なくなった、発言をすると坂上の手によって殺されるので何も言うことが出来なかった。今の坂上になにを言っても無駄だというのが元生徒の一致した意見だった。「何をどうやっても今日は家にかえれないからな」と坂上が言う、女子生徒の泣き声が大きく聞こえる。「自殺に関わってないものもこちらでは特定している、そいつらは先生の所へこい」と言い名前を呼び始めたが自殺に関与してない生徒は五人しかいなかった、30人中五人が自殺には関与してなかった。

坂上は娘の自殺を機にこの事を調べるようになりわかったことだが殆どの生徒が自殺に絡んでいた。 生徒たちはもう逃げ場がないと思ったのか自分からロープに括り死んでいくものもいた。最後の一人も自ら首を括った。

五人はホッとした気持ちになり帰り支度を始めようとすると「お前ら馬鹿なのか?」

と坂上がいう、「お前らが一番の主犯格だろ」

「これが最後の授業になります、席についてください」と坂上は本当に授業を始めますという雰囲気をだした。

「これから五人で殺し合いをしてもらいます、一人残った方は家に帰れます」

というと元生徒は「ふざけんな」と文句を言ってきたがもうそこには坂上の姿は無かった。

各所机には殺し合いに使える武器が置いてあった、「この武器を使って脱出すればいいいんじゃない?」「そんな甘くにだろうな」「私達に殺し合いなんてできるわけないじゃん、友達でしょ」と三人が話す。残った内訳は男子二人の女子三人だった、本当の主犯格は男子生徒の裕二だった。坂上の娘を強姦し自殺に追い込んだのも裕二だった。坂上の娘は自分から死を選んだが他の三人は違い、この五人が自殺に関与していた。「早く殺し合ってください」とどこかわからないスピーカーから聞こえてくる。

「他人を殺すことができても仲の言良い他人は殺すことができないんですね」

「うるせーな」と誰かがスピーカに向かって叫ぶが坂上にその声が聞こえてるかはわからない。「覚悟決めるしかないか」と言って拳銃を誰かが持ち出した、「お前正気か?俺たち仲間だろ」「仲間?そんなのここでは必要ないって事だろ」「坂上の娘殺したのお前なんだからお前から死ね」と言って拳銃を裕二に撃つが素人ではなかなか当たらないがへっぴり腰になった裕二はもう動くことができなくなったので拳銃を捨て日本刀で首をかっきり裕二の頭はそのへんに転がった。

「先生もうこれで終わりにしましょうよ!!誰が傷ついたとかもういいでしょ、無駄な命削り合いはやめましょうよ」と幸之助がいうがスピーカーからは何も返答がない。「あんた良く人を殺せたわね」と女子軍団から詰められるが幸之助からしたらこれが一番いい戦略だと思ったのだ、女子軍団は幸之助を軽蔑する目でみるが幸之助からしたらそんなのどうでも良かった、この教室から早く出たかった、こんな遺体まみれの教室にいたいやつなんているはずもないだろう、後は女三人を殺せば終わる、幸之助の頭はそれしかなかった。日本刀から拳銃に持ち替え「死にたいやつはいるか?」と聞いた、「あんたどうしたの?頭おかしくなっちゃったの?」

「もともとおかしいことをやってたんだからこういう目にあってもしょうがないよな」と言って一発拳銃を撃つと一人の胸に当たって即死となった。

「あんた何やってるの?ゆうこと付き合ってたんじゃないの?それなのに、ゆうこを殺すなんて信じれない」「この世界ではそんなの関係ないんだよ、強いも者が勝ち弱いものが負けるんだよ」「何言ってるかわからないよ」「わからないなら死んでくれ」と言って2発撃って女子二人を殺した。幸之助はゆうこの所へかけより「ごめん」と五回繰り返した。本当は二人で生きていたかったが現状無理なのはわかっていた。

二人でこの教室から逃げ出して世間に訴えた方がいいと思ったがそんなことは出来なかった。

教室の扉が開くとそこには警察が並んでいた、「君がここまでやったんだな」と言うがなにを言ってるのかわからず、拳銃を撃ったが刑事達には辺もしなかった。

「早く確保しろ」と後ろから命令が飛んでくる。制服の警察が幸之助を取り囲み

時間を言って確保と言った。幸之助は警察署に行く間、「僕は悪くない、僕は悪くない」と言っていた。幸之助は捕まってから3日で逃走経路を見つけてしまった。

四日目逃走を図った、ニュースにもなり全国に激震が走った。

【クラスメイト30名殺しの少年、警察署から逃走】

という速報が全国に知れ渡り警察署に近い小学校は休校になり親御さんたちの不安を煽った、幸之助は未成年のため名前も顔も誰もわからないので、いつなにがあるかわからないというのが警察の見解だった。

幸之助はまず歌舞伎町に行った、以前付き合いがある先輩に逃げ場所を用意してもらうためだ、先輩は歌舞伎町の裏路地で薬のやり取りをしていた、

やりとりが終わると「逃げ出したんだな」と笑顔で迎い入れてくれたが先輩は幸之助とも絡みをいやがり、封筒を私大阪へ行けといった。「その金で整形して、普通に暮らせ」「わかりました」といって幸之助は大阪へ旅立った。

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