第13話 お約束過ぎて…
翌日、いつもの様に準備をして馬車に乗り込む。昨日は結局夜遅くまでカルミアやファリサと話をしていたから、眠いわ。
ウトウトと馬車の中で眠っているうちに、学院に着いた。馬車から降りると、なぜか令嬢たちが私の方を睨んでいる。
あら?これは…
すると、数人の令嬢たちが私の方にやって来た。
「ローズ様、1つお聞きしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ…構いませんが…」
明らかに私を睨んでいる令嬢たち。なんだか嫌な予感がする。
「あなた様がアデル様と付き合っているなんて話を昨日お伺いしたのですが、そんな事はありませんよね?」
あぁ…やっぱりアデル様の事か。昨日の今日で、もう噂になっているのね。さすがだわ。
「ええ、付き合っておりますが、何か?」
ここは嘘を付いても仕方がない。堂々と胸を張ってはっきりと告げた。
「本当ですって?あなた、どうやってアデル様を惑わしたの?そういえばあなた、ティーナ様と仲がよろしいそうですね。まさかティーナ様を人質に…」
「なんて恐ろしい女なのかしら?あなたのご両親は、ほとんど家に帰ってこないそうですわね。家庭が崩壊していると、やっぱり常識のない令嬢になってしまうのですわね」
予想通り、私に向かって暴言を吐く令嬢たち。案の定、私の親の話も出てきた。こういう時は、逃げるのが一番だわ。
「あの、私、急いで降りますので」
令嬢たちの間をすり抜け、走って教室へと向かう。
「ちょっと、話しはまだ終わっておりませんわよ!」
後ろで令嬢たちが叫んでいたが、もちろん無視した。本当に女の嫉妬とは見苦しい。でもきっとこれで、ある事ない事噂されるのだろう。私が噂されることは構わないが、ティーナ様やアデル様まで悪く言われないかしら?
そう思いつつ、教室に入った。
「ローズ、おはよう。どうしたの?走って来たの?」
カルミアとファリサが私のところに飛んできてくれた。
「ええ…ちょっと令嬢たちに絡まれて…」
「やっぱり…それで逃げて来たの?」
「そうよ。カルミアとファリサの言う通り、これから私はきっと、令嬢たちから嫌われ妬まれるわね。私のせいで2人が嫌な思いをするような事があれば、私から…」
「あなた何を言うつもり?私たちはあなたの友達なのよ。友達を見捨てるなんてことは、絶対にしないから!」
「そうよ、昨日も言ったでしょう。私たちに出来る事は何でもするって。本当にローズは!」
「でも…」
「でもじゃないでしょう。とにかく、私たちの事は心配しないでちょうだい」
「分かったわ…ありがとう、2人とも」
とは言ったものの、やっぱり2人にはあまり迷惑を掛けられない。私で対処できることは、自分で行わないと!
お昼休み、今日もティーナ様たちと一緒に食事をとる為、テラスへと向かう。
その時だった。
「ローズ・スターレス嬢、ちょっとよろしいかしら?」
金髪の巻髪をした見るからに性格のきつそうな令嬢が、私に話しかけてきた。後ろには彼女の取り巻きだろうか。4人の令嬢が腕を組んでこちらを睨んでいる。きっと私に文句を言いに来たのだろう。
「私に何か御用ですか?」
「御用も何もないわよ。あなた、ティーナ様を人質にして、アデル様を自分の恋人にしたそうじゃない。一体どういう神経をしているのよ。そもそもアデル様は、私と付き合うはずだったのよ!」
「そうですわ、マリー様はずっとアデル様を思って来たのですよ。それなのに、あなたが横から奪い取る何て…」
「やっぱり両親にちゃんと躾されていない令嬢はイヤよね…たいして可愛くないくせに、よくティーナ様やグラス様、アデル様と一緒にいられるわよね。自分だけ浮いているの、気付いていないのかしら?」
「あら、気付いているのでしたら、アデル様と付き合うだなんて、そんな図々しい事はしないはずだわ」
「本当にそうですわよね。オホホホホ」
本人の前で酷い悪口を吐く令嬢たち。ただ、確かに令嬢の言う通り、あんなにもお美しいお3人の間に割り込んでいる私は、図々しいのかもしれない…
「ちょっと、何とか言いなさいよ!」
巻髪令嬢が私に詰め寄って来た。と、その時だった。
「君たち、一体何をしているんだ。僕の恋人に暴言を吐くなんて、ただじゃ済ませないぞ!」
この声は…
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