第167話 教団員を探せ

グレイ魔法教団の本拠地を探す為、魔法が使えない薬を広めている白いローブの男を探す事にしたラッキー達は二手に分かれて街を調べる事にした。


ラッキーとシルフィードは王城と魔法学園のあるフランダルを調べる事にした。


「もしかしてローブの色とか変えてるかもね。」


「たしかにシルフィーの言う通りだな。何度も同じ姿で配ってたらこっちが警戒してるって思うもんな。そうすると白いローブで探すのは危ないな。どうする?」


「とりあえず聞き込みね。怪しい人がいなかったか聞いて回るわ。」


「わかった。二手に分かれよううか。広いしその方がいいだろ?」


「そうね。じゃあ2時間後にここで集合にしましょ。」


「わかった。」


シルフィーと別れたラッキーは食材売場に来ていた。


(さてとりあえず色んな人に話を聞いてみるか。魔法が使えなくなる薬っていうのは極秘みたいだから直接聞くのは無理か。なら・・・)


「おばちゃんこれ頂戴。」


「はいよ。」


「なあこの辺で魔力が増える薬を売ってる所があるって聞いたんだけどなんか知らないか?」


「なんだいそりゃ?聞いた事ないね~。」


(まあそんなすぐにはわからないか・・・)


「そうだね~。あそこで野菜売ってる男に聞いてみたら何かわかるかもしれないね~。」


「本当!?ありがとうおばちゃん。」


ラッキーはリンゴのような果物を購入し、その足でおばちゃんから言われた野菜を売っている所へ向かった。


「おっちゃん。これちょうだい。」


「おうおう。ありがとな坊主。このトマトはうめぇぞ。期待してくれよ。」


「うん。期待してるよ。それでおっちゃんにちょっと聞きたいんだけど、この辺で魔力が増える薬を売ってる人がいるって聞いたんだけどなんか知らない?」


「魔力が増える薬か・・・そうだな。最近たしかにそんな話を聞いたな。なんでも灰色のローブの男がそんな薬を売っているとかなんとか。まあでも本当にそんな薬があるなら俺だってほしいぐらいだ。詐欺かもしれねぇぞ。」


(おっ。いきなり有益な情報ゲットだ。白いローブじゃなくて灰色のローブの男か・・・って言ってもローブ姿なんてそこら中にいるからどうやって探すんだって話だけど・・・どっかに座ってゆっくり観察するか。鑑定のスキルがあれば一人一人確認できるんだけどな。あれ?そういえばシルフィーは人物鑑定の素質を持ってたよな。シルフィーと一緒に探したほうが見つかる可能性が高いか。)


ラッキーはベンチに座って、先ほど購入したリンゴを食べては歩く人を観察し、トマトを食べては観察し、パンを食べては観察した。


(特に何もなかったな。まあすぐに怪しい人が見つかる訳ないか。そんな都合よく見つからないよな~。とりあえずシルフィーと合流して人物鑑定の事を聞いてみるか。そういえば最近はそれ程魔物も狩ってないからガチャスキルもあまり使えてないな~。やっぱり使えば使う程、素質が手に入る確率は上がるんだし、この依頼が終わったらフランダルのダンジョンに行くのもいいかもしれないな。魔法剣も実践で試した方が使えるようになるだろうし。)


成果が上がらなかったラッキーは、シルフィードと合流した。そして人物鑑定のスキルについて尋ねるが、ステータスや素質なんかはわかるが、その人がグレイ教団の人かどうかはわからないらしい。シルフィードの方も成果がなかったみたいだった。マリアとリルはモートルの町で何日か捜索をするので、シルフィードを二人でその日は宿に帰ったのだった。


そして翌日・・・


「あれは!?」


ラッキーの目の前には丁度ピンク色の液体を丁度飲んでいる学生と、それを眺める焦げ茶色のローブ姿の人がいた。


(見つけた!でもクソッ!!遅かった。あの学生はもう薬を飲んでしまっている。いや今はあのローブの人を見張るのが先か。どこからきてるのか分かれば元を対処する事ができるしな。)


ラッキーは、学生から離れていくローブの人の後を追っていく。見つからない様に距離を開けながら、それでも見失わない様に距離を開けすぎない様に。


(町からは出ないんだな。どこに行くんだ?こっちの方があまり来た事がないからわからないけど・・・)


焦げ茶色のローブを着た人の後を追うと倉庫のような建物に入って行く。


(ここか・・・倉庫・・・ここにあのピンク色の魔法が使えなくなる薬を保管しているのか?とりあえずシルフィーと合流するか。いや先にさっきの学生に話を聞こう。丁度学園にいるし学園長に状況を話すのもいいかもしれない。倉庫の場所は覚えた。気配察知では10人ぐらい人がいそうだ。バレない様に離れるか。)


薬の保管場所と思われる倉庫の場所を見つけたラッキーは、倉庫の中に予想以上の人がいた事で深追いはやめて学園に戻る事にした。


「え~っと、あっいたいた。ちょっと?そこの君。話を聞きたいんだけどいいかな?」


「あっ、はい。えっ!?ラッキーさん!?」


(あれ?俺の事知ってる・・・あっ。同じ魔法剣の授業を受けてる女の子だ。たしか・・・)


「ミルキーさんだったよね。」


「はい。どうしたんですか?」


「さっき焦げ茶色のローブの人からピンク色のポーションみたいなモノをもらってたよね?」


「はい。なんか魔力が増える薬って言われてタダでくれるって言うからもらったんです。それがどうかしたんですか?」


ラッキーとミルキーが話していると急にシルフィーの肩が掴まれた。


「君!!魔力が増えるピンク色の薬って言ったか?それはもしやピンクフリードではないか?」


「ピンクフリード?」


(なんだこの人は?何か知ってるのか?それに・・・服装からして料理人にしか見えないんだけど・・・)


ラッキーとミルキーの前に現れたのは、クックコートをピシッと着こなした料理人だった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る