第161話 魔法学園留学~2か月〜ラッキー
「やった!!ようやくできた!!」
「やりましたねラッキーさん。普通はそんなに早く魔法剣を使えるようにはならないんですよ。やはりラッキーさんは良い素質をお持ちですね。いやそれはラッキーさんに失礼ですね。ラッキーさんのがんばりの成果です。」
「ありがとうございます。」
魔法学園に留学してから2か月が経った。ラッキーは目標にしている魔法剣の授業で初めて魔法剣を用いて模擬戦をする事ができたのだ。今まではその場で魔法剣を維持できても、動かそうとするとすぐに消えてしまっていた。
一緒に授業を受ける学生達に相談したり、手伝ってもらったりしながら今日、ようやく剣を動かしても魔法剣を維持する事が出来たのだ。
「ですがようやくスタート地点と言った所ですよ。これからドンドン楽しくなります。ラッキーさんの留学期間は後1カ月ですからその間にどれだけより濃い魔法を纏わせる事ができるかが課題ですね。」
「はい。」
魔法剣は、剣や槍に魔法を纏わせる事で通常攻撃にプラスして魔法の効果も相手に与える事ができるというものだ。
魔法剣と言っても種類は多い。ラッキーの様に火魔法を使う者の他に水魔法や風魔法、雷魔法なんかをまとう者もいる。
ラッキーはまだ魔法剣に関しては初心者なので、火を纏ってると言っても剣にうっすらと赤い色がついているぐらいだ。熟練者になると、見た目まるっきり火の剣を持っているように見える。更に長さを自由自在に変える事ができる。
そして、達人と言われる人は、魔法を纏っている事を見せずに魔法剣を使う事ができるらしい。らしいというのは、この学園で魔法剣をならってる学生の中にそのレベルに達している学生がいないからだ。
ラッキーの今後の課題は、より質の高い火魔法をミスリルの剣に纏わせるようになる事だ。更に言えばもう一属性魔法剣を使えるようになるのが望ましい。
魔法剣を学ぶ学生達の卒業基準は2種類の魔法剣の習得だった。というのも、一属性ではその属性が効かない相手と出くわした時に手がなくなるからだ。火魔法が効かない相手には水魔法でといった感じだ。
もちろん魔法剣だけにこの基準は留まらない。普通の魔法に関しても二属性以上の魔法を使えるようになる事が卒業基準だった。
ただ、学園に留学してから魔法剣の仕組みについては理解した。もはや学園に居なくても魔法剣の鍛錬は可能だろう。
「ラッキー。ようやくだな。よし俺と模擬戦してみようぜ。」
「ああ。」
(これで俺も一人隅っこでの練習が終わりだな。よかったよかった。短期留学とは言え、隅っこはちょっと悲しかったからな。俺もこれでようやく模擬戦ができるな。って言っても魔法剣の維持に意識がいってるからまだまともに模擬戦できないと思うけど。)
ラッキーの予想通り、模擬戦を行ったが魔法剣を消さない様にすることに意識が行き過ぎて思うように動けず、模擬戦は負けまくった。普通に戦ったらラッキーのレベルなら学生が相手なら負ける事はなかっただろう。
(やっぱりここの学生はすごい。素質なんてなくても自分達の努力で道を切り開いている。俺なんか特に、ゼンパンの素質から色々な素質を手に入れる事ができるから素質、素質ってこだわってたのかもしれないな。反省する所だな。)
魔法剣の授業を受けている学生の中に、魔法剣の素質を持つものはいなかった。なのに普通に魔法剣を実用レベルで使えるまでになっている。この事にラッキーは尊敬と、素質はきっかけや補助でしかない事を改めて感じるのだった。
「ラッキー。食堂行こうぜ。」
「ああ。」
2ヶ月も学園に通えば友達も増える。シルフィードとマリアは毎晩、宿に帰れば会うし、朝は一緒に登校してるから、学園内では他の友人達と一緒にいる事が増えた。
魔法剣の授業の後は、昼食を取りながら魔法剣談義だ。魔法剣の良さ、発動までの苦労話、魔法剣を使う英雄の話など、ラッキーにとって興味を引く内容ばかりの楽しい時間だ。
もちろんただ話を聞いているだけではない。ラッキーは今までの冒険の話をする。周りが目をキラキラさせてその話を聞く。
魔法剣の授業を受けている学生は冒険者志望が多い。ラッキーの話はそのな学生達の興味の的だった。質問攻めに合う事もしばしば。ラッキー達は良い関係を築いていた。
しかし・・・
(魔法に関しては順調なんだけど、このパンの秘密は全く話はないから進展がないんだよな〜。)
ラッキーは、学園の食堂に毎日通い、パンを食べ続けた。比較する為、ガチャスキルもウィークリーガチャスキルまで貯めずに毎日デイリーガチャスキルを使っていた。それでも秘密は全くわからなかった。
(学園の食堂の料理はパン以外も美味しいからパンに何か入れてるって訳じゃないと思うけど・・・こればっかりは検討がつかないな。まあ後1ヶ月頑張るしかないか。)
短期留学の期間は残り1ヶ月。魔法剣の方は成果が出たので、パンの秘密も必ず突き止める。と気合を入れるのだった。
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