第159話 気になるのは魔法よりも・・・パン⁉
食堂でストリンガーとドルチェにどんな授業があるのか、貴族とかの階級のしがらみはあるのか、どんな実力者がいるのかなど様々な事を聞いたラッキー達は、ストリンガーと別れ、宿屋に戻ってきていた。
「どうしたのラッキー?食堂を出てからなんか変だけど?」
「ええ。私も思いました。ラッキー様何かありましたか?」
『ラッキーどうしたんだ?お腹空いたのかー。俺のオヤツ一口ならあげてもいいんだぞ。』
「ああ。シルフィーとマリアは食堂の食事どう思った?」
「どう?おいしかったわよ。」
「はい。普通においしかったですよ。」
「そうなんだけど、付き合わせに出てきたパンすごくおいしくなかったか?」
「そう?ラッキーからもらうパンとあんまり違いがわからなかったけど。」
「私もです。」
「なにも味が付いてないパンなのにすごく甘くておいしかったんだ。それでいて外はカリッとしていて中はモチっとしていた。俺のガチャで出てくるパンももちろんおいしいんだけど、ここの食堂で食べたパンはそれ以上の味の気がして・・・それでずっと気になってたんだ。どうやって作ってるんだろうって。」
「なるほどね。たしかにラッキーって毎日パンを食べてるもんね。」
「いやいやシルフィーにマリアだって毎日食べてるだろ?」
「ラッキー程じゃないわ。でも丁度いいじゃない。どっちみちこれから学園に通うんだから3カ月間は毎日食堂に通えるし。気になるんだったら食堂の人に作り方を聞いてみれば。」
「!?そうだな。」
(やっぱり、ガチャ産よりおいしいパンって気になるよな。作り方を聞いてどうするんだ?って思うかもしれないけど、なんとなくだけど、俺がよりおいしい作り方を知ったり、新しい種類のパンを知ったら、ガチャからも同じパンが出る気がする。もしかして・・・今日のこの感じのままデイリーガチャを引けば、さっきのパンに又出会えるかも。)
「とりあえず俺の予想が正しかったら、さっきのパンが出ると思うから今日のデイリーガチャをしてみようと思う。」
「そんな都合よくいくの?」
「ああ。今までもなんかどこかで見てるようなタイミングでパンや素質が出た事があっただろう?無関係とは言えないと思う。」
ラッキーは、本日のデイリーガチャスキルを使った。目の前にはいつもの白い光が現れて、そして光が収まるとそこには・・・
そこには、ラッキーの予想通り、先ほど食堂で食べたパンが、ロールパンが現れた。
(これでこのパンがあの食堂と同じなら・・・)
ラッキーはパンを手に取った。
(見た目は全く一緒だな。色といい、大きさといい、まんまだ。)
一通り確認したラッキーは、ロールパンを一口食べた。
「違う・・・これは食堂で食べたパンじゃない・・・」
「ちょっと。私にも食べさせて。」
ラッキーは残りのパンを3つに分けて、シルフィード、マリア、リルに渡した。
シルフィード達はラッキーから渡されたロールパンを食べてみる。
「どうだ?」
「言われてみると、さっき食べたパンの方がおいしいような気はするけど・・・」
「私もです。いつものラッキー様からもらうパンの味です。」
『このパンも普通においしいんだぞ。』
(いや俺には違うってはっきりわかった。だけどガチャスキルからはさっき食べたパンと同じパンが出た。味が再現できないのは、きっと理由がわからないからだ。もし俺が食堂で作ってるパンの秘密がわかればガチャスキルから出るパンの味が軒並みおいしくなるはずだ。おーマジか。これは魔法以上に興味をそそるな。言わば魔法のパンか。いやもしかして本当にパンを作る工程で魔法を使ってるのかも。)
ラッキーはこの日、魔法を極めるとともにパンの味を極める事も決めるのだった。
「俺はあのパンの味の秘密が知りたい。学園に通う楽しみが又一つ増えたな。」
「魔法よりもパンなんてラッキーらしいわね。」
「まあ魔法には興味があるけど、俺の場合元々が魔法の素質持ちじゃないからな。どっちかって言うと幅広く色んな知識を手に入れた方が良いと思うんだ。だから攻撃魔法系はシルフィーが、回復魔法系はマリアがそれぞれ極めてくれればバランスもいいだろ。」
「たしかにそうね。任せなさい。強い攻撃魔法をバンバン覚えるわ。」
「はい。私もラッキー様の為にがんばります。」
『俺もがんばるんだぞー』
「よし。それじゃ3日後までギルドの依頼でも受けるか。」
「そうね。学園に通いだしたら依頼を受けれるかわからないものね。」
『おー。俺はオークがいいんだぞ。』
「リルちゃんの為にオーク討伐の依頼があれば受けてもよさそうですね。」
「だな。」
ラッキー達が学園に通うのは3日後からだ。それまでを街の散策、買い物、ギルドの依頼、魔物の討伐に充てて準備を進めるのだった。
街の散策では見つけたパン屋に飛び込んで、食堂のパンと比べて味が落ちている事に落胆し、オークを倒してモンスターガチャスキルを使ったが、食堂のパンの味を思い出して落胆し、パンの味が忘れられなかったラッキーは、昼ご飯を毎回、学園の食堂に通ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます