第126話 久々のダンジョン攻略
「本当に20階層からスタートしなくてよかんですか?」
オーディールダンジョン入ったラッキー達は、タルトとマフィンが登録している20階層からではなく、1階層からスタートしていた。
「もちろんよ。私達はオーディールに入るのははじめてだし。それに、今までに行ったダンジョンと同じなら20階層までならすぐにいけるだろうしね。」
「逆にマフィン達には申し訳ないな。低層だとレベルも上がらないだろ?」
「それは全然かまわないです。ラッキーのドロップにも興味ありますし。」
ラッキーが10回に1回の割合でレアドロップを手に入れる事はタルトとマフィンに説明していた。話を聞いた時はどちらもあまり信じていなかったので、マリアの提案で、1階層から全ての魔物のレアドロップを手に入れながら下に進む事にしていた。
ラッキー達がオーディールダンジョンに挑戦する事は、皇后の呪いが治った事とともに、国王と父親のロートに手紙を送っていたので、1ヶ月程、ダンジョン攻略に期間を充てる事にしていた。
今回の目標は30階層でアークドラゴンに言われたモノを見つける事だ。だがすんなりと30階層にいけるからと言えばそう言う訳でもない。
ラッキー達が挑んだ初級、中級ダンジョンとは違って、オーディールダンジョンは、未だ攻略されていない地獄級ダンジョン。何があるかわからない。
冒険者にとって大事な事は、レベルを上げて強くなる事ではなく、どれだけ安全に稼ぐ事ができるかだ。
ラッキーの場合、危険を犯して格上の魔物を倒さなくてもスキルを使えば強くなれる。更にレアドロップがあればお金を稼ぐ事も容易だ。お金があればより強い装備を揃えたり、回復系アイテムを揃えたりする事もできる。
なので、20階層からじゃなく、1階層からスタートする事にしていた。もちろんアクアダンジョンで出会ったハズレ階層や、今回の30階層の事のように、まだ見つかってないモノがあるかもしれない。という期待もあった。
「1階層から3階層はスライムしか出ないんですよね?」
「はい。1階層はブルースライム、2階層はグリーンスライム、3階層はレッドスライムですね。」
「なんかアクアダンジョンのカラースライムを思い出すわね。でもここのスライム達は倒したらちゃんとドロップアイテムを落とすわよね?」
「もちろんです。ブルーはスライムゼリー、グリーンは緑豆、レッドは赤豆を落とします。」
「緑豆?赤豆?」
「はい。緑豆は体力を、赤豆は魔力を回復してくれます。」
「体力と魔力を!?すごいじゃない!」
「回復と言っても微々たるモノですよ。ただポーション類はお腹に溜まって何度も使えないんで、保存食も兼ねて持っている人は多いんですよ。」
(回復効果のある豆か。便利だな。手軽に食べれるし持ち運びもしやすい。俺のパンとも相性も良さそうだし。)
「それは便利だな。先に知ってればいくつか買っといたけど失敗したな。」
「多分、陛下がくれたマジックバッグにテントと一緒に入ってると思いますよ。ダンジョン行く時の定番だから。」
(アルカディアにはないアイテムなんだろうな。それとも俺がまだ知らないだけか?まあ知らない事の方が多いんだししょうがないか。覚えた事はしっかり活かして行けば問題ないだろ。)
「それで?スライムのレアドロップは何なの?ドロップも気になるけどやっぱりレアドロップの方が気になるわ。」
「レアドロップはすごいですよ。僕も何度か経験ありますが驚きです。」
「マフィンは初めてレアドロップが出た時叫んでたものね。」
「そういうタルトだって驚いてたじゃん。」
「そりゃ〜ね。」
「そんなにすごいの?」
「はい。ブルーのレアドロップは単純に上スライムゼリーと普通なんですがグリーンとレッドはすごいですよ。レアドロップだと豆が50個も出るんです。」
「「「えっ?」」」
(ん?豆が50個・・・えっ、それだけ・・・)
「え〜と、マフィン・・・別のアイテムじゃなくて同じアイテムが複数出るって事?」
「はい。すごくないですか?50個ですよ。1日スライムを倒しても10個も集まりませんから。」
「え〜と、そうね・・・すごいの・・・かしら?」
(確か通常ドロップ確率は10%だから、スライム100体倒したら豆が10個ぐらいか。レアドロップなら50個だから500体倒したら同じ事だもんな。そう考えたらあまりすごい気がしないんだが。)
そんなやり取りをしながら1階層にいるブルースライムを順調に倒し、2階層へと進んだラッキー達。2階層で見つけたグリーンスライムをラッキーが倒した時にそれは起こった。
グリーンスライムが死ぬと同時に緑色の豆が大量に現れたのだ。
「出た!?レアドロップだ!!さっき上スライムゼリーが出たばかりなのに。ラッキーって・・・」
「連続でレアドロップ当てたんじゃない?50個以上あるように見えるわ。」
「「連続!?」」
「たまたまだよ。」
「でもこれでラッキーが規格外って事がわかったでしょ。」
「「はい!!」」
1階層で上スライムゼリーのレアドロップを、2階層で緑豆50個×2のレアドロップを手に入れたラッキーを見て、聞いていた話が本当だと改めて思ったタルトとマフィンだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます