第123話 霊峰オーディールとオーディールダンジョン

オーディルに向かう為、王城に行くと、すでに準備を整えたセレス王女、タルト、マフィン、それに護衛の騎士が2人いた。


「セレス王女も一緒に行かれるんですか?」


「ええ。オーディールは国でも重要な施設だもの。オーディールの主、アークドラゴン様と会うなら王族として行かない訳にはいかないわ。それに、万能薬草を手に入れたらすぐにお母様に渡してあげたいの。」


「僕らも王様にお願いして、同行させてもらう事になりました。アークドラゴン様と会う機会なんてめったにありませんから。護衛するほど実力があるわけではありませんが、よろしくお願いします。」


(なるほど。だから謁見の時に王様の隣にいた騎士の人が俺達の護衛としてついてくるんだな。あの人達って王様の側近、近衛騎士だよな・・・セレス王女がくるなら当然だろうけど王様の傍にいなくて大丈夫なのか?)


「私達が今回護衛として参加する事になった。私が近衛騎士団長のダインで、こっちが副団長のオパールだ。よろしく頼む。」


「はい。ダインさん。オパールさん。よろしくお願いします。」


(団長と副団長か。強いんだろうな。オーディールにはワイバーンが出るって話だしな。あれ?でもオーディールのダンジョンってFランクから入れるって言ってたよな?ワイバーンが出るのに大丈夫なのか?)


「今回セレス王女も行く事もあり、表向きはダンジョンと霊峰の視察と言う形をとります。ダンジョンの入り口までは魔物も出ないので安全ですが、ダンジョンを越えて山を登るとワイバーンが出てきます。ワイバーン程度なら私達は何度も倒してるので安心して下さい。」


(なるほど。霊峰オーディールって山があって麓に、ダンジョンへの入り口があるのか・・・でその山を登るとワイバーンが出てくると・・・結界があるのは山の上って事か・・・)


行動内容を聞いたラッキー達は早速、オーディールに向かった。


(それにしてもワイバーンか・・・俺達でも倒せるかな?アルカディアじゃあBランク級の魔物のはずだけど・・・俺達のランクはCだし厳しいか・・・リルがいても空を飛んでるなら相性が悪いよな。シルフィーの風魔法が通用するなら倒せると思うけど・・・ワイバーンが出たらダインさん達の戦いを見て考えるか。)


王都ガイアから1時間程馬車で移動すると目的のオーディールに到着した。ガイア国唯一のダンジョンだけあって、周りには冒険者が多数いた。


どうやら入り口で順番待ちをしているようだった。


「たくさん冒険者がいるんだね。」


「うん。ここで受付みんな中に入るんだよ。滞在予定日数とか、冒険者ランクの確認とかするんだ。手に入れたアイテムとか魔石もここで買い取ってもらえるし、宿もあるからここで過ごす冒険者は多いんだ。」


(ここに来るまで王都から馬車で1時間かかったもんな。歩きなら3時間ぐらいかかるか。それならここで泊まった方が効率的だ。アイテムとかも買い取ってくれるならわざわざ王都まで行く必要もないしな。ここにはどんな魔物が出るんだろう?アルカディアじゃわからなかったからその辺クルトさんとマフィンさんに聞いて見ないと)


「そう言えばマフィンさん?ここってFランクから入れるって言ってたけど実力が足りなかったら危ないんじゃないのか?」


「そこは大丈夫だよ。Fランクは3階層までしかいけないんだ。Eランクで10階層まで、Dランクで30階層までしかいけない決まりなんだ。僕もクルトもDランクだから

30階層までしかいけないんだ。まあ僕達の実力じゃ20階層ぐらいまでしかいけないんだけどね。あと、僕の事はマフィンでいいよ。」


「うん。俺の事もラッキーでいいよ。もちろんタルトもね。」


「わかった。」


(ダンジョンが国に一つしかないから行ける階層が決まってるのか・・・考えてるな。3階層なら日帰りだろうし実力がついてきたらより深く進む感じなんだな。俺達はCランクだから50階層ぐらいまではいけるんだろうか?だけど俺達だって、中級のアクアダンジョンでも20階層までしか行ってないからマフィン達とあまり変わらないか・・・。一度一緒に行ってみてもいいかもな。)


「マフィンはタルトと二人でダンジョンに行ってるの?」


「そうだよ。Cランクに上がるまでには4人か5人ぐらいのパーティを組みたいんだけどなかなか良い人がいなくてね。まだ20階層付近だから2人でも十分やれるしね。」


(たしかにマフィンは守護神でタルトは武聖だから攻守のバランスはいいもんな。俺達3人入れて5人だから、万能薬草が手に入ったら5人でのダンジョン攻略しないか聞いて見るか。)


「受付に話をしてきました。それじゃ霊峰に登りましょうか。ここからは魔物が出てくるので私が前でオパールが後ろを警戒します。危ないので私の指示には必ず従ってください。」


「わかりました。よろしくお願いしますダインさん。」


ラッキー達は、ダンジョンの入り口とは別に、脇に入って、霊峰オーディールの山を登って行った。ワイバーンを警戒しながら進んでいたが、結界に来るまで魔物には全く遭遇しなかった。


(ワイバーンがいるって言ってたけど全く見つからなかったな。折角ワイバーンと戦えるチャンスだと思ったのに・・・実はあまりいないのかな?それともアークドラゴンが何かしてくれたのかな?)


「普段はワイバーンの1体や2体ぐらいは遭遇するんですが、運が良かったです。これが結界です。結界の向こう側に見えるのが万能薬草ですね。この結界は消える事がなく、誰も中に入った事がありません。」


「どうするのラッキー。中に入るの?」


「いや、中はドラゴンがいっぱいいるって話だし、入ったら気づかれたりするかもしれない。リルに頼んでここからアークドラゴンを呼んでもらおう。」


「それもそうね。」


「じゃあリルお願い。」


『任せるんだぞー。おーいアークおばちゃーん。俺が来たんだぞー』


霊峰オーディールの結界の所まで来たラッキー達は、転移で中に入る前にアークドラゴンにコンタクトを取る事にしたのだった。

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