第119話 四国会議が終わり・・・

「どうしたのラッキー?いきなりリルを抱いて。」


「セレス王女。王妃様を助けられるかもしれません。」


「本当ですか!?」


「ラッキー。どういう事だ?」


「実は、俺がテイムしてるリルは原初の森のフェンリルの子供なんです。」


「「なんと!?」」


「それで、オーディールにいるアークドラゴンはリルの知り合いみたいで、リルの母親が話しを通してくれるみたいです。」


「ラッキーさん!!それは本当ですか?」


「はい。だから父上が心配されるような事にはならないかと。」


「ありがとうございますラッキーさん。」


『セレスはラッキーの友達だからな。友達を助けるのは当然なんだぞー。』


「リルも友達を助けるのは当然だと言ってます。」


「友達・・・ありがとうございますリルさん。」


「そういう事なら逆に行かない方が問題になりそうだな。陛下?」


「ああ。そうだな。ここから直接ガイア国に行くわけにはいかぬから、四国会議が終わり、アルカディアに戻ったら私がラッキーへ指名依頼という形で依頼を出そう。儂も一緒に行きたい所だが、そういう訳にも行かぬだろうからな。それならば問題なかろう。それでよいか?セレス王女よ。」


「ありがとうございます。アルカディア王。これでお母様も助かります。ありがとうございます。ありがとうございます。」


セレス王女は泣きながら、何度も何度も国王やラッキー達にお礼を言った。暗い雰囲気だった会議が一気に明るくなり、ガイア国との秘密の会合は無事に終わったのだった。


◇◆◇◆◇◆


そして、それを見ていた神界では・・・


「フェン。ありがとう。ラッキーさんを助けてくれて。」


「でもフェン?あんな事してよかったの?」


『はい。ラッキーには息子を助けてもらった借りがありましたから、借りを返したようなモノです。』


(さすがラッキーね。これも運の良さによるものなのかしら?フェンがここにいるタイミングで、オーディールの話が出るなんて・・・偶然にしては出来すぎよね?フェンが手を貸さなければガイア国の王妃はきっと死んでいたわ。それにパンドーラの呪い・・・。メルトの件といい、呪いの件といい、何かが起こっている・・・)


「でもフェンのお陰でラッキーさんも助かった。」


「そうね。タイミングがよかったわね。フェンがここにいなかったらラッキーの状況もわからなかったものね。」


『そうですね。それもきっとゼンパンの素質の導きかもしれませんね。』


(ゼンパンの素質の導きか・・・。たしかにそうかもね。)


「フェン?ラッキーさんがガイアに行った後、原初の森で会うの?」


『はい。私なりにラッキーを見て、このままでは危ないと思いましたので原初の森で少し鍛えておこうと思いまして。』


「たしかにね。運が良いって言っても全てがうまくいくとは限らないものね。」


『はい。マイ様の言う通りです。今までは運よく物事がうまく運んでいましたが、今後どうなるかわかりません。ラッキーはゼンパンの素質により、今後様々な事に巻き込まれる。もしくは色々な事を起こしていくでしょう。ある程度実力が伴っていないと、解決できない問題も出てくると思います。なので、原初の森で実力を伸ばしてあげようと思います。』


「フェン・・・ありがとう。」


『いえいえ、坊やも一緒に居てますから。ラッキーに何かあるという事は坊やにも何かあるという事です。我が子の為にちょっと協力するだけですよ。』


(フェンもミラには甘いわね。まあフェンが協力してくれれば安心だわ。私とミラじゃ下界に干渉できないもの。)


そして、ミラとマイは引き続きラッキーを見守り、フェンは原初の森へと帰って行った。


◇◆◇◆◇◆


ガイア国との会合が終わってからは、特に問題が起こる事もなく、四国会議は円満に終了した。他国の次世代英雄候補者達との交流も良好で、特に他国の引き込みなどの問題も起きなかった。


「ラッキーよ?四国会議はどうだった?」


「父上。そうですね。他国の次世代英雄候補との交流はすごく勉強になりましたね。それに、サラマンダ連合国もアルカディアとは違ってすごい新鮮でした。」


「そうか。戻ったらすぐにガイアへと向かうのか?」


「そうですね。1週間ぐらいはゆっくりしようとは思ってます。セレス王女も急いではいるけど、もうしばらくは大丈夫だと言ってましたし。」


「そうだな。セレス王女も国に帰って国で打合せもしないといけないだろうからそれぐらい日を開けた方が良いかもしれぬな。」


「まあ戻った後すぐにまた国を出るとスイートに嫌われますからね。」


「それもそうだな。」


(それに・・・今回は運よくリルが助けてくれたけど、リルが助けてくれなかったら王妃様を助けられなかった。もし俺にもっと力があれば、転移魔法で町から町へ移動する事ができれば・・・もっと色んな素質を持っていれば、リルに助けられなくても救えたかもしれない。折角全ての素質を手に入れるチャンスがあるんだ。もっともっと自分の実力を上げないと・・・帰ったら1週間スイートの事もあるけど、王都近くのダンジョンにでも行って魔物狩りしないとな。)


そうして、ラッキー達は自国アルカディアへと帰っていくのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る