第3章 ゼンパンの素質とプレミアムガチャスキル

第106話 国王からの呼び出し

「ラッキー様。朝食の準備が整いました。」


「ありがとう。すぐ行くよ。」


ラッキーは、部屋の向こうから聞こえてくる声に優しく答えた。


「まさか又自分の家に戻ってくるとは、あの時は思っても見なかったな。」


ラッキーは自分の部屋、そうストライク公爵家にあるラッキーの部屋から出てダイニングに向かった。


「よくよく考えたら俺の部屋がそのまま残ってるのって奇跡に近いな。後で母上とスイートにはお礼を言っておかないと。メルトが使ってたらさすがに使いたくないもんな。」


ラッキーの部屋は追放された日から何一つ変わらず残っていた。クッキーとスイートが部屋を片付ける事に対して、大きく拒否した為だ。ロートやメルトがラッキーの部屋を無理やりにでも片付けてしまっていたら今のような結果になっていなかったかもしれなかった。


クッキーとスイートの隠れた功績である。


ラッキーがダイニングのドアを開けると、ロート、クッキー、スイート、更にはシルフィード、マリアがすでに席に着いていた。


「ごめんごめん。俺が一番最後みたいだね。」


「大丈夫ですわお兄様。私達もさっききたばかりですから。」


「そうよラッキー。あなたはまだ体調が万全じゃないんですから。ゆっくり来てくれて全然かまわないわ。」


「ありがとう母上。スイート。普通に歩けるようになったからもう大丈夫だよ。」


そう、ラッキーが今、公爵家にいるのは体調が万全でないからだ。ようは公爵家で療養中なのだ。


王国武道会閉会式の場で、ラッキーは英雄の種を使い、魔物になったメルトを倒した。英雄の種は1時間ステータスを10倍にしてくれるアイテムだ。


もちろんただ10倍にしてくれるだけのアイテムではない。使った反動で1週間は全く動けなくなる。持っている力の10倍もの力を使うのだ。身体にかなり負担がかかる。


ラッキーは英雄の種を使った反動で、メルトを倒した後倒れた。すぐに公爵家に運ばれ今に至ると言う訳だ。


ちなみに王国武道会が終わってから2週間経っている。昨日までは満足に歩く事もできず、食事も部屋で取っていた。


普通に歩けるようになったので、今日から、家族で食事を一緒にする子になったという流れである。ちなみにシルフィードとマリアはラッキーの看病の為、同じく更新家で過ごしていた。


もちろんリルも一緒だ。リルはみんなが食事を待っていても気にせず先にご飯を食べている。今もラッキーの目の前で美味しいそうに尻尾をブンブン振って肉を食べていた。


(リルは自由だな。)


そんなリルにほっこりしながらラッキーは席につく。全員が席に着くとメイドが朝食をテーブルに並べた。


特大のステーキに具沢山のスープ、野菜盛り盛りのサラダに、フルーツの盛り合わせ、そして、山積みの大量のパン。とても豪華な朝食だった。


(ああ、そういえばデイリーガチャスキルを1週間も使えなかったのは痛かったな。まとめて引けるか期待したけど全くそんな事はなかったし。それに連続ボーナスも消えたから又コツコツ頑張らないと。)


1週間目を覚まさなかったラッキーは当然、その間はデイリーガチャスキルを使っていない。文字通り一日一回使えるスキルなので、今日使わなかったから明日は2回使える。といった事もない。


「まさか又ここで家族全員で食事をする事ができるとは思わなかった。神に感謝だな。思えば・・・」


「お父様。料理が冷めてしまいますわ。」


長くなりそうな話をスイートが止める。ラッキーにとって久しぶりの家族の光景だった。


「おお。そうだな。では頂くとしよう。乾杯。」


ロートの乾杯と共に食事が始まった。ストライク家にはメルトも名を連ねていたが、メルトは王国武道会で魔物になった後、詳細を調べる為に王城に運ばれていた。もちろんすでに死んでいる。


「ラッキーよ。身体の方はどうだ?」


「はい。激しい運動は難しいですが日常生活には何も問題ありません。」


「そうか。いや実はなラッキーが動けるようになったら王城にくるよう陛下から言われていてな。」


「俺がですか?」


「ああ。素質の事や転移魔法、メルトの事なんか色々あるだろう。」


(そりゃそうか。陛下には全く説明してないもんな。)


「わかりました。今日ですか?」


「ああ、王城に使いを出して、可能かどうか先に伺おう。な〜に儂も一緒だ。そんなに嫌な顔せんでも気楽に構えておけばいい。」


「はい・・・」


(さすがに国の王様に会うのに気楽に構えろって言われても・・・)


「そうだ!お兄様。良ければスキルを見せてくれませんか?私、お兄様が出したパンを食べたいです。」


「スイート。ラッキーのスキルはパンが出るとは限らないんだぞ?」


「かまいませんよ父上。出るのはほとんどパンですから。」


『ラッキー。肉が出たら俺がほしいんだぞ。』


リルは食事を終えてスイートの膝の上に座っていた。


(いやいやデイリーガチャスキルから肉が出た事ないから!!)


ラッキーはデイリーガチャスキルを使った。ラッキーの目の前には定番の白い光が現れる。そして光が納めるとそこには・・・


パンが、それもスイートが好きそうな甘いパンケーキが出るのだった。


(やっぱり願うと多少は希望に沿ったパンが出るんだろうか?それとも偶然?)


スイートはラッキーから受け取ったパンをおいしそうに食べ、家族の朝食は終始和やかムードだった。


☆☆☆☆☆


いつも読んでいただきありがとうございます。


ブログで先行的に新作発表しました。

『勇者に魔王を倒させろ!?チートはないけどリスク&リターンでやってやるぜ!』https://sususu123.net/category/brave/

今はストックを貯めています。是非是非~。


評価もよろしくお願いします。すごいやる気が出るので!!


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