第82話 ボーナスステージ

アクアダンジョン17階層は100体のカラースライムがいる部屋が無数にある階層だった。カラースライムとは、青や赤、黄色や緑色したスライムだ。ただ、赤い色したスライムだから火魔法を使うとか、緑色したスライムだから毒を受けると言った事は全くなく、色が違うだけで能力は全く一緒の最弱のスライムだった。


魔物のランクはEランクだが、その強さはFランクのスライムと変わりなく、いや、もしかしたらFランクのスライムよりも弱かった。なので、取得経験値も魔物の中で一番少ない。しかもスライムゼリーのようなドロップアイテムも一切残さない。


そのせいもあり、アクアダンジョン17階層はハズレ階層と呼ばれていた。レベルも上がらない。ドロップアイテムも手に入らないならカラースライムを倒す意味が全くないからだ。


そんな中、笑い声をあげながらひたすらカラースライムに対して無双する男がいた。その男の名はラッキー。


今もシルフィー、マリア、リル、サフィーネ、リルクル、シャインが見つめる中、一人で100体のスライムに対して剣を一心不乱に振っていた。


一振りでカラースライムが5体消え、又一振りで5体のカラースライムが消えて行った。


「ラッキーって変わり者だな。」


「そうですね。レベルも上がらない、ドロップも落とさないカラースライムとあれだけ張り切って戦えるのはすごいわね。」


「ラッキー君ならカラースライムからも何かドロップが手に入るかと思ったけど今の所何もないね。」


サフィーネ、リルクル、シャインの3人はカラースライム相手に無双しているラッキーを眺めていた。


「シルフィー。ラッキー様があれほどはりきってるのって、きっとモンスターガチャスキルの為ですよね?」


「きっとそうね。多分カラースライムを倒してもラッキーにはモンスターを倒したアナウンスが流れてるんでしょうね。でないとあれほど笑顔でカラースライムを倒し続けるなんて無理だと思うわ。」


シルフィーとマリアはカラースライム相手に無双しているラッキーを見ながら小声で話し合っていた。


カラースライム部屋は現在5部屋目に突入していた。3部屋目までは全員でカラースライムを倒していたが、4部屋目でサフィーネ達が脱落し、5部屋目でシルフィー達が脱落した。脱落したといってもカラースライムの討伐に飽きただけだ。


ラッキーはそんな事を気にせず1人カラースライムを倒して行った。


そして、5部屋目のカラースライムを倒してシルフィー達の元に戻ってくるラッキーは、


「お待たせ。いやー、カラースライム相手の無双は楽しいな。早速次に部屋に向かいましょう。」


ノリノリで6部屋目への突入を宣言した。


「ラッキー・・・その・・・まだカラースライムを倒すのか?」


「もちろんだよ。まだ時間は全然あるし。まだ金色のスライムも銀色のスライムも確認できていませんし。そうですね。10部屋ぐらいは行きたいところだね。」


「10部屋・・・。」


「あっサフィーネ達は見ててくれてかまわないよ。俺が倒したらドロップがあるかもしれないし。」


「そっ、そうか・・・。」


その後、ラッキーは次々とカラースライムの扉を開けて、100体のカラースライムに対し無双していった。シルフィーやマリア、サフィーネ達も時々は手伝っていたがすぐに休憩し、笑顔で無双するラッキーを眺めていた。


10部屋分カラースライムを倒しても、何もドロップしなかったのでラッキーは次こそはと11部屋目に突入した。ちなみに11部屋目からは、ラッキー以外はカラースライムがいる大部屋前の小部屋で待機していた。


もはや、銀色のスライム、金色のスライム、ドロップアイテムの事よりも、ラッキーがいつ17階層の狩りを終えるのかしか興味がなくなっていた。



カラースライム討伐を終えたラッキー達は帰還玉を使って、地上に戻ってきていた。

結局、アクアダンジョン17階層でラッキーは合計20回もカラースライム部屋に突入し無双を続けたのだった。


(いやーアクアダンジョン17階層はすごいな。今日だけで2000体も魔物を倒したからモンスターガチャスキルが200回分もストックできてしまった。10連モンスターガチャスキルが20回も使えるのか・・・。楽しみだな。あっ・・・でも200個もパンが出たらさすがに腐るよな・・・。)


そんな事を考えながら先頭を歩いてギルドまで歩くラッキー。その後ろではサフィーネ達が苦笑いをしながらラッキーについて行っていた。


肉体的にも精神的にも疲れたシルフィー、マリア、サフィーネ、リルクル、シャインの4人はギルドに素材を渡すと、査定は明日以降に聞く事にして早々に宿へと向かうのだった。


(シルフィーもマリアも疲れてるみたいだし、モンスターガチャスキルについて相談したかったけど、明日でいいか。は~早く明日にならないかな。それに又17階層には行きたいな。)


ラッキーは、アクアダンジョンの17階層に又行く事を心に決め、前を歩くシルフィー、マリアとともに宿屋に戻るのだった。


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