第3話 追放されたラッキーが向かうのは

公爵家を追放されたラッキーは公爵領を出る事にした。公爵領にいれば、知り合いに会うかもしれない。知り合いにバカにされたくなかったラッキーは辺境の地へ向かう事にした。


「とりあえず西に向かうか。」


ラッキーは公爵領から出ている乗り合い馬車に乗り、辺境の地へ向かった。


「さてこれからどうしようかな・・・。お金はもらってるからしばらくは困らないけど、何かしないとすぐに一文無しだもんな。それに色々挨拶もできなかったな・・・」


ラッキーは父から追放と言われ、その足で部屋の荷物をまとめて屋敷を出ていた。仲の良かった友達もいたが誰一人挨拶する事もできなかった。


「みんな心配してるかな?それとも公爵家の人間じゃなくなった俺の事はどうでもよくなってるのかな・・・・くそっ!!父さんもメルトもむかつく!!絶対見返してやる」


ラッキーはそう心に決めて、今後の事を考える事にした。


「まずは辺境のリスボンに行って宿を取ろう。それから冒険者になってお金を稼ぐしかないよな。それで【ゼンパン】の素質について色々検証しよう。俺の予想が正しかったらこれから良くなるはずだ。」


ラッキーはこの10日間でガチャスキルを10回使っていたが、その10回を思い出していた。


「多分ガチャってスキルはパン以外にも出るはずだ。パンが出る時の光は天職の儀の時の光と似ていた。だからきっと金色の光とか虹色の光もあるはずだ。その時にパンとは違うモノが出るはず。出るよな?出るよね・・・出てくれよ。」


乗り合い馬車に揺られる事10日。ラッキーは辺境の街リスボンにたどり着いた。


「着いたな。早速宿を見つけようか。いや先に冒険者登録が必要だな。ギルドでおすすめの宿を教えてくれるかもしれないしな。」


ちなみに馬車旅の10日間、毎朝起きる度にガチャスキルを使用したが出たのは・・・・・パンだった。


アンパン、食パン、ジャムパン、カレーパン、ピザパン、クリームパン、フランスパン、チーズパン、アンパン、アンパン


「それにしても見事にパンしか出なかったな~。まあパンが出た分は食費が浮くから多少はましだけど・・・ってここがギルドだな。」


ラッキーはギルドに入った。

ギルドに入ると、お酒の匂いがプンプン漂ってきた。


「ひえ~。酒くせー。まあ冒険者のイメージって金稼いだら酒飲んでバカ騒ぎするって感じだもんな。でもまあ人気の職業だし誰でもなれるからな。」


ラッキーはギルドの受け付きに向かい、受付嬢に話掛けた。

「すいません。冒険者登録をしたいんですが、受付はここでよかったですか?」


「はいはい。大丈夫ですよ。綺麗な男の子ですね。もしかして天職の儀を受けて素質があるから冒険者になろうって感じですか??」


「いえ。まあ・・・ちょっと生活の為に・・・」


「生活の為?ははーん。冒険者になってガッツリ稼いでウハウハ生活したいんですね。冒険者は夢がある職業なのでそういうの全然OKですよー」


(なんだこの人?えらい軽い人だな・・・)

ラッキーは受付嬢のノリについていけず若干引いていた。


「いえ、まあ天職の儀は受けたんですけど、あまり良い素質じゃなかったのです。それでも冒険者にはなれますか?」


「えっ・・・。そうなんですね。でも大丈夫ですよ。ギルドの依頼は魔物討伐とか護衛依頼ばかりじゃないですから。薬草採取や錬金術師の助手や清掃業務何かもやってますから。それに素質がなくても冒険者登録はできますので安心してください。」


「よかった。なら冒険者登録をお願いします。」


「わっかりましたー。ではではこちらに必要事項を記入してください。」


ラッキーは受付嬢に登録用紙をもらい、その場で必要事項を記入していった。


「名前はラッキーでいいよな。追放されたんだからストライクの家名はいらないし。後は素質欄は空白でいいか。一応小さいころから剣術とか魔法の勉強はしてきたから素質がなくてもそこそこはやれると思うし。」


ラッキーは必要事項を記入した用紙を受付嬢に渡した。


「はい。ラッキーさんですね。最初はGランクからのスタートになります。冒険者の内容について説明しますね。」


その後、1時間程、冒険者の心得を聞いたラッキーは、対応してくれた受付嬢のナンシーさんに、おススメの宿を聞いてギルドを出た。


「よし!とりあえずギルドで冒険者登録はできた。おススメの宿も聞いた。後はやるだけだな。」


ラッキーは宿で1週間分の宿代を払い、部屋のベットに倒れ込んだ。


「ようやく一人でゆっくりできるぞー。乗合馬車はたくさん人が乗ってたから落ち着かなかったんだよな~。色々考えたい事もあったし、ようやく一人になれた。それに久々のベットだ!!」


ベットに倒れ込んだラッキーは馬車旅で疲れていたのか、夕食も取らずにその日はそのまま眠ってしまったのだった。


◇◆◇◆◇◆


一方ラッキーを見守る神界では・・・


「無事にリスボンについてよかった。それにしても又、パンしか出てなかったな~。早く素質出てくれないかな・・・。早く素質が出ないとラッキーさん病んじゃうよ・・・ギルドでは他の冒険者に絡まれてなかったからよかったけど、武器も防具も何もないから魔物討伐なんてできないし、薬草採取だけじゃ生活も厳しいだろうし・・・」


「でもミラ?たしか1カ月間ハズレだったらガチャスキルの内容は神託で伝えて良いって父さんが言ってなかったっけ?」


「!?そうだった。忘れてた・・・今20回ガチャスキル使ってるからあと10回だ。あと10回ハズレのパンが出たらラッキーさんにスキルの事を伝えれるんだ。」


「ガチャスキルの内容さえ知ればラッキーも頑張るでしょ。父親や剣聖の子を見返すって言ってたしね。」


「うん。ラッキーさん・・・がんばって」


ラッキーに素質を与えたミラとミラの姉のマイは今日もラッキーを見守っていた。



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