1-05「死人(しびと)と妖(あやかし)の行く道は、未だ灰色の帳に包まれて」本文感想

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【本文感想】

 正道を往くバトルファンタジーの開幕を感じさせる書き出し。あらすじから予感出来る期待に応えた作品となっており、様々なアプローチの仕方があったなかでユクミ視点から始まったことはやや驚きもありました。面白かったです。前半は情景描写を強めに印象的な出会いのシーンを描き、後半にかけてお互いのスタンスを提示する。司は(親しかった)裏切り者に報復するため。ユクミは過去の自分を超えるため。示された要素がいくつもあり、自然と続きが読みたくなる作品になっておりました。

 本作品は『約束の者』が常にキーワードとして現れます。それはユクミを縛るものであったり、司が拠り処にするものであったり。時代の移り変わりや世界観を示すものとして、十分な機能を果たしました。ユクミの精神性の変化を表す一つのトリックにもなります。

 社で待つ=ある種の封印的である冒頭はユクミが訳アリであることを示し、「では閉じ込められている理由とは?」を読者に推測させながら進みます。久方ぶりに現れた来訪者を心待ちにする姿は印象的であり、解放を望む姿からかつて畏怖の対象だった可能性もあるのでは、と推測させる読者の心理を丁寧に「無害であり救い手に回りたいと成長する妖」という認識にシフトさせていきました。あらすじで示される今後の展開が司とユクミのバディであることは理解させられていたので、キャラクター造形が判明したいま、この二人の化学反応を楽しみに思えるようになります。

 もう一人の主人公である司もヒロイックな性格であり、大義を背負った生存者です。所長から託され多くの想いを背負って命からがら秘境へと望む。到達した先で力尽きそうになるところを、ユクミはユクミで自身の課題と向き合って「助ける」ことを選ぶ。運命的に導かれた、ある種ボーイミーツガール的シチュエーションがとても胸を熱くさせるもので、非常に好みな作品でした。

 本作品にはタイトル同様色彩の描写・表現があります。実際の作品性・内容・世界観には関連しない描写上の拘りといった面ですが、「表現したいものがある」という熱意が感じ取れる作品は魅力的に思えます。序盤のユクミ視点で見る孤独は非常に印象的で好きでした。素敵でした。





【気になった点】

 第一話としても書き出し祭り作品としても申し分のない出来に思え、死人という設定に関しても邪鬼の隷属化で命を繋いでいるだけの主人公であると明示されています。司とユクミは仲間になったがやっと希望を持てただけでもあり、この先の道の険しさも感じる。しかも司の目的とユクミの目的でそれぞれ物語が進行していくなかで何らかの成長が待っていることは予想でき、少年漫画的な期待値をずっと感じることが出来ました。申し分のない作品だと思います。

 ただ一つ触れるとすると、書き出し祭りでの文字数制限という兼ね合いもあって補強が足りない部分なのかもしれませんが、『約束の者』に関しての認識はやや迷子になりやすい部分はありました。私の読解力不足の可能性が全然ありますが、元々の命の恩人がどういう目的で「約束の者が来るのを待て」と告げ、その伝承が「時代の移り変わりと共にやや変容するほど曖昧に伝わったか」理解に悩む瞬間があり、結局司が約束の者でいいのか合言葉そのものは広く伝わっていたりするのか(あるいは所長が本当の約束の者であったか)正しく理解しておきたいところです。それは伏線や今後解明されるもの、としてあるのかも知れないですが、一読者としての私として、認識の整理に突っ掛かる部分があったということはこの項で触れさせて頂きます。

 あくまで一個人の観点ですが、参考にして頂けると幸いです。

 大変続きが読みたくなる作品でございました!

 ご依頼ありがとうございました!!



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