水物違いじゃねーか!!!!
「遠い! 隣の都市なのに遠い!」
「もう一週間外にいますね。モンスターにも襲われましたし」
モンスターは良いのだ、ぽちがいるから。
襲撃された所でそいつらは、ぽちと二匹のシャインオオカミのプレッシャーがわからない逆に雑魚な連中なんだから。
リアカーにも馬車にもクイックリリース機能がついているからすぐに戦闘態勢が取れるしね。
輸送物資を狙う山賊も良いのだ。みんな強いから。
ぽち達がクイックリリースで解放されるとは思ってもないはずだから、女二人で運んでるって思われるからさ、そりゃ襲うわ。サキ美人だし。私ミニスカ衣装だし。
ちょっとした暇つぶしタイムになるからこれはこれで良い。
だが道のりが長いのは駄目だ。暇すぎる。
伯爵領土の土地感覚を舐めていたよ。凄い広いのね。いやでもヒゲソリ男爵領からツレナイ伯爵領ソレソーレ市、モーレル伯爵領オット林業都市までは近かったし、このモーレル伯爵の土地感覚が広いのか。広大な土地でも持ってるんかねえ。
途中で交易商人の集団と遭遇したので一緒に過ごすことになったよ。
みんなでいる方が襲われないからね。みんな私たちを見てビビってたけどね。ガハハ。
おしゃべりしながらさらに一週間かけてモーレル伯爵領オットト水産業都市へ到着。とりあえず商人ギルドへ木材を卸す。良い額のお金が手に入った。異世界に来てから今のところお金に困ったことがなくてラッキーだわ。
この都市に来てわかったことなんだけど、ここはお魚などを販売する所じゃなかった。漁業都市じゃなかった。
なんとキャバクラにキャバレー、ホストにホステス、メイドカフェに性風俗などの水商売都市だったのである! 確かに水の産業都市ではある、ってなんじゃそりゃあ! 木材どこに使うの!?
ただ水商売は興行ものや飲食店、芸能活動などもその範疇に含まれるので、映画の撮影がそこかしこで行われているし、ボクシングの公開試合が行われていたりするし、お魚が焼ける良い香りがしてくる。
息抜き都市って感じなのかな。
「まあ先を急いでる市ここにはあまりたいざいせ――」
「――こんなところでサキュバスが黙ってみているはずがないですわ! ちょっと行ってきます!」
びゅーん、と去るサキ
「あーれー」
それがあまりのスピードで、くるくる回転する私。
サキはここを取り仕切っているいくつもの後援団体(反社組織以外)に声をかけ、小さなクラブを借り、瞬く間にそこを超一流のホステスが集う高級クラブに作り替えてしまった。
こうなったらサキは止まらない。そこから出る高収益を元にどんどんと店舗拡大をし、芸能人を雇い芸能事務所を作り、高級料理店を何店舗も出店していったのである。最中、社長夫人のヒモになる。
「サキー、まだやるの?」
「まだまだこんなものじゃ終わりません! 性産業には手を出していませんし、映画制作会社を作っておりませんし」
「でももう一年だよ。鉱山都市へいくのはどうなったのさ」
「もう諦めましょう。ここを永久の都にすることに目的を切り替えましょう。わたくしが運営する会社のシェアはもう七割にも達しておりますの」
こりゃ駄目だな。ちょっとぽちに咆哮をしてもらって気絶させ、ぐるぐるに縛ってこの都市を出る。サキには悪いけど、代理人に運営してもらおう。収益はヒゲソリ騎兵隊が運営するヒゲソリ銀行の口座に振り込んでもらえれば良いや。
後日目を覚ましたサキは、せっせと後援団体に何を割り振るのか、勢力バランスの調整にいそしんでおりましたとさ。
ぽちを走らせること一週間。オットトト鉱山都市に到着。
くり抜かれた山に都市がすっぽり入っているような感じで、まさに異世界。本で読んだドワーフの王国みたい。
住人も物の見事にドワーフ族が中心で、物の見事にぽちにビビっていた。ぽち巨大だしな。
ドワーフは本当に背が低かった。一二〇センチメートルくらいかな。筋肉は凄いあるんだけどね。あとなぜか泥まみれ。宿屋の主人も泥まみれであった。なぜ?
オットトト鉱山都市にはソレソーレの資源採掘基地がほしがっている採掘道具を受け取りに来ただけ――しかも二者間で交渉は済んでるから本当に運びにきただけ――なのであんまり興味はなかったんだけど、一番異世界を感じる風景なので観光もしていくこととなった。
今くり抜いている山に鉱山資源もあるみたいで、採掘しながら都市を広げているような感じ。だから都市が常にほこり臭いのか。
くり抜いている最前線を案内係さんに案内してもらって見学させてもらったんだけど、爆弾でドーン! して、それで破壊された岩盤を都市に運ぶというなんとも凶悪なやり方で、ぜってー落盤事故起こるだろ!? 私でもわかるわ! というやり方だった。さっさと去ろう。危なすぎる。
ただ、ドワーフの感覚でやってるから大丈夫らしい。そっか、でも私は去る。
まあ、一二〇センチのちみっこがえっちらおっちら破壊された岩盤を拾って集めている姿はかわいかったけどね、これで毛むくじゃらで筋肉ムキムキじゃなければもっと良かったかな。
採掘された山の物は都市にある分別小屋で分別。鉱石は溶かして不純物を取り除いたあとインゴットにして固めて、貴金属が含まれている土は分離機にかけて貴金属を取る、とかしているみたい。
「余った土とかはどうしてるんですか?」
「輸出してるよ。土はない所にはないからね、これも貴重な資源なんだ。豊富に出るから安く出荷できる。あまり遠い所は輸送費がかかってしまって厳しいけどね」
疑問に思ったことを案内係さんに聞いてみたらそういう答えが返ってきた。へえー。
「さあここはお待ちかねの道具に加工する所だ。存分に見ていってくれ」
「いやーあっついんですぐ抜けますわ」
といいつつ作業が美しいので、むかつくことにドワーフのくせに美しいので、ずっと見ていましたわ。
まずはインゴットを柔らかくして、それを金槌で叩いて形作り、あれこれそれこれする。すると原型が出来るので次の作業に。何回かするとあらなんと、道具になってる。こんなん私が説明できるわけあるかい。
しかしドワーフが作ったシロモノは一級品で工作精度が高い。日本だとナノマシン製造装置がガシャンコシャンやってもっと精度良く作るけど、手作りがここまで作るんだから凄い。人って凄いなー。
一通り見たあとは採掘装備をもらい受けてオット林業都市へGO!
なんかオットトを抜かすオット‐オットトト間の直接道路があるんだって。オットト水産業都市改め『自由都市サキ』はお楽しみの場所だったらしい。
「わたくしは自由都市サキに用事があるので伺いたいのですが」
「ぽちのリアカーの後ろに馬車を連結させちゃおう。大豆と小豆に乗っていってきな」
「いや、その、えっと」
「わふ」
「ばうばう」
「あっ大豆様首根っこを噛まないで。あっあっ小豆様のお首に鞍が設置されてる。ああぁ……私大豆様によって乗せられちゃうのね……小豆様に。汗ぐっしょり」
なんとか気絶しないでいるサキだけど、気絶した方がきっと楽なのになって思う。ま、これで一応分かれての行動は出来るね。それでは『ツレナイ伯爵領ソレソーレ市』まで行ってこよう! びゅーん。
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