5
実家に電話したら、母が久しぶりに出た。
「お母さん? ゆいちゃん追い出されたの」
『まぁ? ひどいわねぇ。お母さんもお父さんと良輔に厳しくされて好き勝手できないの』
母の声が少し弾んでいる。夫いや、元夫の悪口は母の大好物の話題だからと思ってたら、母の愚痴が始まった。
父と兄夫婦が母に厳しく接してるって。
私とのやり取りは必要最低限のみ。買い物は父と一緒に。金銭管理は兄夫婦。以前みたいに好き勝手できないと。
「ねぇ、帰っていい?」
『ごめんねぇー。今日は遅いからさ……待って、良輔が……』
兄が出ると言われた瞬間嫌な予感が脳裏に浮かぶ。また怒られるのかな。
『結花、聞いた。お前親として本当に最低なことしてくれたな。悠真くんの最後の情けを台無しにしたのは、お前自身だ。自業自得だ。被害者だと思うな。冠婚葬祭以外連絡するな。いいな? お前が野垂れ死のうが知ったこっちゃない』
兄から再び実家と関わるな宣言に結花はひどいよ、やめて、お家に帰りたいと繰り返す。
『知らん。お前が撒いた種だろ? それにな、もうすぐ息子が帰省するから、お前のための部屋はない。以上』
一方的に話すだけ話して、結花は肩を落とす。
夫と娘にそして実家にも捨てられた。
このままどうやって生きていったらいいの?
慰謝料のこともあるし、仕事ないし、かと言って働きたくないし……パパにお願いしようかな?!
結花は近所の公園に移動して、パパ活をした人達に電話をするが、
そんな中唯一1晩だけならと言ってくれたパパがいた。昼間に相手してくれた人。
場所は
パパこと
瀬ノ上さんの家は高宮台駅から少し離れたところで、周りは大きな家が多い。
ここがうちだよと指さしたのは、一際目立つ日本
立派な門構えに迎えられ、今日はみんないないからとすきに使ってと洋室に案内された。
部屋はアンティークな家具だらけで、思わず目を輝かせる。
よし、これであわよくばここの息子と結婚すれば……また裕福な家の妻になれる。皆が思ってるような結末にはならない。
話を聞いてくれた瀬ノ上さんは、しばらくいていいよと言ってくれた。
今日は遅いから早く寝なさいと。
喜んでいたら、災難は朝3日目の朝にやってきた。
瀬ノ上さんの為に朝食作ってたら、夜勤帰りの息子に見つかった。
「――あなたどなたですか?」
冷たい声で聞かれたとき身震いした。
「あ、お父さんの友達の呉松結花です。ゆいちゃんって呼んでね」
上目づかいで自己紹介すると、息子さんは「はぁ?」と声を上げてた。
声に気づいた瀬ノ上さんがキッチンにやってきて、息子さんと言い争いになってた。
「なんだこの女は?」「どういう関係だ?」「勝手に人を入れるな」と強く言い募る。
「お父さんの友達だ。仲良くしてあげて」「お母さんには内緒な」と男同士の約束をしていた。
息子さんは「ふざけんな。呼ぶからな」というので、私はボディタッチでダメだよっと止める。
「なんだ、こいつ……」
息子さんの顔が引きつって、キッチンの座り込む。
「この子可愛いでしょう。お前の嫁にどうだ?」
「バカ言ってるんじゃね!! お母さんに言うから! とっとと帰れ!」
その後は、奥様に見つかって大喧嘩。慰謝料の請求された。約200万。複数回会ってるのも、バレてしまった。
奥様から言われたのは、条件として家の手伝いとして離れに住むこと。そこで給料からしょっ引くと。
家を追い出された話をしたから。
そこからずっと毎日こき使われる日々。
「ここの掃除出来てないわよ!!」
「買い物付いてきてちょうだい」
「ご飯が冷たいからやり直し」
たまに帰って来る息子さんにも、性的なことの関係に無理矢理持ち込まれそうになったり、暴言を言われてるけど、パパは何も止めない。
最早私は召し使いになっていた。
合間を縫って、婚活アプリやるけど、全然ダメ。
やり取りが数回で終わって、デートにこぎつけれない。
やっぱり、専業主婦希望じゃ無理?
もしかして、前にマッチングアプリで騙してたこと知られてる?
「あなたに紹介したい人がいる。これを受け入れたら、借金帳消しになるけど?」
5年後、奥様から紹介された男性とお見合いして、見た目は良さそうだったから再婚した。
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