第3話 童貞
マサミは関ぴょんのバイクの後ろに乗りちえの家に向かっていた。
2ケツは少々怖い。運転手にしがみつきたいところだが相手は男。
そんな恥ずかしいところは誰にも見せられない。
「このシートを片手でつかみもう片方は後ろのテールを掴めばいい。」
「カーブでバイクが倒れたらビビらず一緒に倒してくれ。」
「ビビッて体を起こすとあぶねーからな。」
夜10時を回ったころ2人で出かけた。
関ぴょんは同じグラフィックデザイン科で新潟市から離れた見附市から通っている。
身長は175くらいでイケメンだ。外人の様な顔立ちで鼻も高くかっこいい。
高校の時は”ジョニー先輩”と呼ばれていたらしい。
席が近かったこともあり次第に話すようになった。
関ぴょんはジーンズにブーツ、そして革ジャンで明らかにバイク乗りと分かるファッションで同じグラフィックデザイン科のカズヨシとすぐに仲良くなっていた。
このカズヨシもバイク乗りで耳にピアスをいくつもつけファッションもワイルドなバイカースタイルだった。
このイケてる2人の仲間になりたいと思いマサミは近づいた。
昔からそうだマサミはクラスで目立った奴がいるとそいつらと一緒にいたくなる。
そういうやつらに惹かれるのだ。
バイクに乗ろうと思ったのはこいつらがあまりにもカッコ良かったからだった。
ところがこの関ぴょん、実は童貞だった。これがマサミとの距離をぐっと縮めた。
マサミはもちろん童貞だった。
関ぴょんはかっこよくモテるのに女の子を目の前にすると緊張してしまうらしい。
ノリもよく女の子とうまくやれそうなのにそうはいかない。
「どっちが早く童貞を卒業するか勝負な。」関ぴょんが言う。
「俺が先だな」マサミは答える。
しかしマサミは自信がなかった。そもそも人見知りが激しくトークにも引き出しがない。自分に自信がないためすぐに相手の反応を気にしてしまう。
勝負は目に見えていた。
夏の夜の風が心地いい。
2人の乗ったバイクは海辺の住宅街に入っていった。
待ち合わせの場所に行くと一人の女の子が立っていた。
ちえだ。
ちえは同じ建物の中にある別の専門学校に通っている。
その建物には学生ホールがあり休憩時間になると学生が多く集まる。
喫煙スペースもありそこで喫煙の為何度も顔を合わせているうちに仲良くなった。
酒好きで身長は170cm近くありグラマー、性格もおおらかで明るい子だった。彼氏がいるがかなり年上で相手には奥さんと子供がいる。関係は複雑だった。
ちえの家は一軒家で両親と共に暮らしている。
近所迷惑にならない様そっとバイクを置き、海辺へ向かった。
靴を脱ぎ砂浜で足をつけ夜の海で他愛のない事を話す。
しばらくして関ぴょんが言う。
「ちえの部屋いきてぇ。」
「だめだよ、親いるし。」
「ちょっとだけ、な、な。」
関ぴょんはしつこい。
この男はしつこいのだ。
「ダメだって、こんな夜に男連れて来たらまずいジャン。」
「いやいや2人だから怪しくねぇーだろ?」
「マサミも女の部屋みてーよな。」
ぐいぐい押す。
マサミは思った。
『何でこの男童貞なんだ?』
これだけ押しが強けりゃとっくに卒業できているはずだが・・・。
そしてついにちえが根負けした。
「じゃぁ足洗うついでって事で。」
「絶対大きな声出さないでね。」
ちえの家にお邪魔する2人。
ちえはママに話していた。
「海行ったから足だけ洗わせてあげるから。」
バスルームで足を洗い2Fの部屋に入る。
うぶな2人はしばし声を発しなかった。
年頃の娘の部屋。
綺麗でいい匂いがした。
肺いっぱいに女子の部屋の空気を吸い込む。
なんとなく緊張してしまい会話がぎこちない。
しばらくすると関ぴょんが思い切ったように言った。
「何かしようぜ。ゲームとか。トランプある?」
関ぴょんが言う。
「トランプ?マジでやんの?あるけど・・・」
「負けたら罰ゲームな。」
「何すんの?」
「一番勝った奴が決める」
3人のババ抜きは盛り上がる事なく終わった。
関ぴょんが勝ち、ちえが負けた。
「じゃぁ罰ゲームな。」
「何すればいい?」
・・・
少し間があり関ぴょんがニヤニヤしながら言った。
「乳みせて。」
ブッ!
マサミは飲んでいた缶コーヒーを噴出した。
「はっ?何言ってんのバカじゃん。」
「頼む、な、な。」
「見せれるわけないじゃん。」
「な、な、」
この男はしつこいのだ。
「じゃあシャツの上からでいい」
「乳首見せて。」
「えぇ~マジか。」
「頼む、な、な、」
この押し問答がしばらく続いた。
そしてちえはまたも根負けした。
「じゃぁシャツの上からだよ。」
後ろ向きになり下着を取る。
マサミも関ぴょんもゴクリの息をのむ。
裸にTシャツ状態のちえが振り向いた。
ちえは巨乳だ。胸のふくらみが揺れている。
関ぴょんは畳みかける。
「胸張ってくれ、透け乳見たい」
ちえは顔を赤らめながら言った。
1回だけだよ。
そう言うとちえはパッと胸を張りTシャツと胸を密着させた。
「はい!終わり、おわり」
ちえはそそくさと下着を身に着け何事もなかったかのように振舞った。
その光景は優しいお姉さんが思春期のガキをなだめているそのものだった。
ほんの一瞬の出来事だったがマサミはその光景をしっかりと目に焼き付けた
しばらくすると関ぴょんは
「ちょっと流してくる。」
何かを振り払うかの様にとバイクで夜風にあたりに行った。
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