『怪兽小馆』―― 『Monster Diner』


 ジャンル:治愈日常系玄幻ファンタジー美食グルメ搞笑コメディ

 おすすめ度:中国語初心者 ★☆☆☆☆

       中国語上級者 ★★★★★★★★


 杭州时七羽墨文化创意有限公司プロデュースのオリジナルアニメ。

 第一期全12話完結済み(2023/09/28)。

 妖怪の口に合う美食しか作れない人間の店主が営む料理店で、様々な妖怪たちが繰り広げる日常の物語。



 最初にあらすじをご紹介。


 妖怪は人間界に潜んでいるが、彼ら自身の行動基準に従って生きている。

 しかし、人間にとって食事は最も大切なものであり、それは妖怪も例外ではない。

 そのため、世界各地の知られざる場所には、妖怪のための食事を用意する深夜食堂「怪兽小馆カイジュウショウカン」がある。

 その中でも料理人の家系でありながら、妖怪の好きな料理しか作れない「桃子」という人間がオーナーを務める特別な料理店がある。

 桃子は妖怪の火不伙、(自称)神仙の阿福と小さな料理店を切り盛りしていたが、あるレシピが出現したことで料理店の周りで不穏な影が動き始めて――。



 めちゃめちゃきれいな水墨画のグラフィック……!!

 ストーリーのところどころにたくさん中国を感じられる要素が散りばめられていて、中国アニメは本当にそういうのが得意だなと感じました。

 大好きです。



 推しポイント①:美食と妖怪、そして陰謀。ひとつのレシピをめぐる幻想物語!


 基本的に妖怪にのみ料理を提供する小さな料理店は平和であった。

 しかし、ひとつのレシピを偶然見つけることで彼らの日常は大きく変わる。

 小さな料理店での短い話なのに、ちゃんと構成がしっかりしていて謎や陰謀もあるので先がとても気になる。


 一話五分〜十分程度なのでさくっと見れるところがいい。

 毎回の話にちゃんとオチがあるので見ていて飽きない。

 思わず時間を忘れて見てしまう……。


 加えて、こんなに平和な水墨画風の作画なのに妖術を使った激しい戦闘シーンなどもある。

 妖怪好きは言うまでもなく、異能力好きにもぜひ見てもらいたいアニメ。


 妖怪に美食に異能力。なんとイケメンも……?

 作中でたくさんの要素が味わえる贅沢な作品。

 続きは本編で!


 推しポイント②:作中に登場する数々の創作妖怪料理。中華料理モデルだけど……?


 本作は名前の通り美食(?)なアニメである。

 しかし作中に登場する美食、少し他のアニメとは異なっている。

 というのも、舞台となる怪兽小馆カイジュウショウカンが妖怪にのみ料理を提供する料理店だから……。

 実際に出てくる料理は、お風呂好きなにんじんの精のお茶や明らかに怪しげな色をしているスープなどなど。


 ちなみに人間が食べると幻覚を見たり挙動不審になったりする(!?)ので要注意。

 それこそ、彼女が妖怪にしか料理を提供しない原因でもあるのだが。


 推しポイント③:水墨画風の作画。他にも中華要素がたくさん!


 本作の最も魅力的な点はやはり水墨画風の作画。

 新たな手法を使って描かれているためか、水墨画風でも滞りなくぬるぬる動いている。

 最初は珍しいなと思ったけれど、ストーリーやキャラクターにマッチしていたのでとてもよかった。


 さらに本作の中華要素はストーリー設定などにもふんだんに盛りこまれている。

 キャラクター設定や料理に使われる食材には『山海経』の要素が取り入れられている。

 おまけに主題歌も中国の無形文化遺産とコラボして作られたものらしい……!?


 本作は紛うことなく、自国の文化をうまくアニメに落としこむことに成功した良作。

 中国文化好きは要チェック!



 ここでちょっとだけ小ネタをご紹介。

 ……と思ったけど、すべて語り尽くした気がするので今回は割愛します。



 妖怪料理店で紡がれる美食な日常ファンタジー、ぜひおすすめしたい一作です!



 (記:2023/10/15)


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