中国アニメをつまみ食い！ in 2022~2023

『烈火浇愁』――『Drowning Sorrows In Raging Fire』

　ジャンル：科幻（SF）、玄幻（ファンタジー）、战斗（バトル）

　おすすめ度：中国語初心者 ★★☆☆☆

　　　　　　　中国語上級者 ★★★★★★★★

　Priest氏の小説が原作の作品。

　第一期全24話（2021/10/07）完結済み。

　「異能人」が存在する架空世界で、妖怪と魔族と人類の三種族に関わる過去の謎を紐解いていく物語。

　まず最初にあらすじをご紹介。

　架空世界に密かに存在する人間離れした能力を持つ「特殊能力者」――略して特能人。

　彼らは一般人には正体を明かさず、「异控局（イコウキョク）」という自治組織を通じて、特殊能力によって引き起こされる超常的な出来事を管理し、社会の秩序を保っていた。

　しかし時が経つにつれ、特殊能力者の中でも立場が分かれていく。

　平和を維持し、社会の均衡を保とうとする者。私利私欲のために能力を利用する者。

　両者の対立関係は、一触即発であった。

　そんななか、异控局（イコウキョク）に就職した宣玑（センキ）は、とある地域で樹木の突然変異が起きた事件の現場に動員されることになった。

　彼はそこで盛灵渊（セイレイエン）と名乗る謎の男と出会う。

　特殊能力者と超常現象にまつわる事件を解決していくなかで、やがて宣玑（センキ）は自身と盛灵渊（セイレイエン）の三千年もの因果を知ることになる――。

　全中華BL好きよ、刮目せよッ！！　かのPriest先生の現代中国ファンタジーですぞ！

　ということで本作もあまり激しくはないですが、ちょびっとお耽美な要素が入っていますので大丈夫な方のみ先に進んでください。

　でも、中華BL好きなら絶対逃しませんからね？

　ここで個人的な推しポイントをご紹介。

　推しポイント①：SF×中華ファンタジー！？　前代未聞の組み合わせにきっと病みつきになるはず！

　本作、実はめちゃめちゃジャンルわけに悩んだんですよ。

　なぜなら舞台は近未来風でありながらも、ストーリーの中核に絡んでくるのは中華風味な神怪のお話だから。

　一見「SFと中華ファンタジー、どう見てもミスマッチなのでは……？」と思うかもしれない。

　しかし、この作品はそんな概念すら根本的に覆してくる秀作。

　この独特な世界観と緻密に練られたストーリーに、はからずも病みつきになってしまう人は少なくはないはずだ。

　なぜなら私もそのうちのひとりだから……！

　今日の中国アニメに不可能はない、と改めて思い知らされた。

　近未来の高度な技術がたくさん出てくるお話が好き！　でも中華な雰囲気も同時に味わいたい！　という欲張りな方に特におすすめしたい作品。

　推しポイント②：かつては小妖と陛下だったふたり。果たして三千年の因果とは……？

　この作品の原作者が書かれるお話はストーリーはもちろん、キャラクターの関係にも重点が置かれている。

　凹凸コンビな主人公ふたりはもちろん、さらには脇役まで個性的なメンツが勢ぞろい。

　キャラ同士のかけ合いを楽しむも良し。自分の推しキャラを探すも良し。

　さらに人物の行動や発言に組み込まれた伏線もたくさん。

　劇中でしばしば三千年前の回想シーンも挟まれるため、現代とどうつながりがあるのか考えながらストーリーを楽しむことができる。

　推しポイント③：とても特徴的な作画。3D中国アニメ入門にいいかも！

　おそらく予告編を見てもらえばわかると思うが、このアニメは他にはない特徴的な作画の作品。

　「2Dと3Dが合わさったような感じのアニメ……？」というのが初見の印象だった。

　基本は3Dでストーリーが進んでいくが、たまに2Dに切り替わるときもある。

　一度中国の3Dアニメを見たことがある方は感じたことがあるかもしれないが、3Dで表現された戦闘シーンは格が違う。

　特に本作はSFファンタジーともあって、光線銃や異能力を交えた戦闘シーンは迫力満点だ。

　臨場感のある戦闘シーンがお好きな方にもぜひとも見ていただきたいアニメ。

　ここでちょっぴり小ネタをご紹介。

　アニメの方、日本語字幕版は出ている……？

　2023年4月からホームドラマチャンネルで放送されているらしいです。

　漫画の方も2023年3月からYUZU comicsより日本語版が配信開始。

　原作小説の方は公式から告知はされていないが、投稿サイトの海外出版情報にはすばる舎との契約情報が掲載されていたらしい。

　そちらは今後に期待！

　一風変わったライトなSF中華ファンタジー、ぜひおすすめしたい一作です！

　（記：2023/07/16）