第24話 私の想い。
私、加賀萌香は、斎藤萌君という男の子が大好きです。
もちろん家族や友人向ける好きではなく、恋人として、異性としての好きなのです。
ちなみに、私の気持ちについては幼少の頃、家族と海外に引っ越しをしなくてはいけなくなった際に、はっきりと伝えていました。
手紙にも書きました (///ラブレターというやつです///)。
それに留まらず、久美ちゃんや家族の見ている前で突発的だったとはいえ、キスまでしてしまいました。もしかしたらもう会えなくなってしまうかもしれないと思ったら、居ても立っても居られなくなってしまったのです。
あの時の自分は大胆だったとおもいますが、よくやったと褒めてやりたいです。
もしかしたらそれがきっかけとなって思い出してくれたのかもしれないですし…。
高校に入学してから、気が付いてもらえるまでに、1年もかかりましたが、好きな人にやっと気付いてもらえたのは嬉しかったですね。
今ではこんなに親しくしてもらえているのが不思議な感じですし、一緒にいられる時間がとても愛おしいのです。
また、彼に恋してしまったのでしょうか?
再会して、まだ数日とはいえこんなに親しくしてもらっているのに私は満足できません。
これ以上を望むのは贅沢というもの…なのでしょうか?
最近の萌君は、人間不信なところを表面には出さなくなったと思います。
寧ろ、人とのかかわりに積極的になってきました。
良いことだとは思いますが、それでもやはりどこかで線引きをしているというか、心から信用を得られていないと思ってしまう瞬間があるのです。
これは私だけではないと思いますが…。
私は、昔と同じように彼への好意を隠したりはしたくありません。
(迷惑じゃないといいけど…と、思いつつも手加減はできません。)
やっと、再び親しくなれたからかもしれないのですが、
彼のことを支えてあげたいなんて大義名分を持って帰国した割にまだ何もできていない自分に少し焦りを感じています。
でも、これからは同じ場所で働き、生徒会役員としても彼の傍にいられることになったのです。偶然が重なってこうなったのですが、これもきっと縁(運命)なんだと信じて頑張ります!
※ ※ ※
ある日の放課後、彼が久美に用事があったようで教室にまで訪ねて来ました。
生徒会の用事以外でこのように彼が訪ねてくるのは珍しいのですが、どうしたのでしょう?
とても気になった私は、不躾ながら聞き耳を立てることにしました。
なんと!萌君のお父さんが見つかったらしいのです。
残念ながらお亡くなりになっていたようですが、父方の祖父母ともうすぐ帰ってくるらしいですね。
このことを、久美のお父さんたちに伝えてほしいとお願いしていました。
本当なら萌君が行きたかったみたいですが、他にも報せに行かなきゃいけないところがあると言っていました。
話を聞き終えた、久美がものすごく驚いていました。
同時にものすごく悲しそうな顔をしていました。
萌君も本当につらそうな顔をして久美に説明していて、こちらが心苦しくなってしまいました。
そんな萌君を私は放っておけませんでした。
萌君に盗み聞きをしたことを謝罪し、こんな時に迷惑かなと思いながらも、今夜どうしても話したいことがあると言って夕食に誘いました。
今日はバイトが休みなので、本当ならお母さんの実家に食事に行くことになっていたそうですが、今日は帰りが遅くなりそうだったから食事は断ったと、私と一緒に外食することはOKしてもらえてホッとしました。
不謹慎ですが、私は少し嬉しかったんです。
私は、兄の夕飯の準備をするために、一度帰宅することにしました。
※ ※ ※
兄の食事の準備も終わったので、少し気合を入れて、お化粧と洋服を選びました。
彼好みな服がまだわからないので、無難に濃紺とベージュのツートンカラーのマーメードシルエットワンピースを選んだのですが、これが正解か悩むところです。
ツーリングであれば、そこまで悩まないのですがねぇ。
約束している時間も迫ってきましたので、そろそろ出発しないといけませんし今回はこの洋服で行きたいと思います!
喜んでくれるといいな…。
※ ※ ※
萌君とはショッピングモールの中で待ち合わせをすることになっていました。
カフェなど人目のある所で待っているように言われましたが、少しでも早く会いたかった私は入り口から近い屋内駐輪場に彼を迎えに行くことにしました。
…しかし、これが良くなかったのでしょう。
私はまた二人の男性にナンパされ、ピンチとなってしまいました。
何度も断ったのですが、言うことを聞いてくれないのです。
腕を掴まれているので逃げるのも困難です。
これで萌君が違う駐輪場にバイクを止めてしまったらと思うと泣きたくなりました。
自分が蒔いた種なのに…、自分で処理できないということが情けなくて…。
自分に怒りを覚えていたところで私のヒーローが助けに来てくれました。
いつもながらすごいタイミングです。
あっという間に倒してしまいました。
相手が金属の棒を振り上げたとき、怖くて動けなくなってしまいましたが、それすらもあっさりと対処して一撃で倒してい待ったのです。
今度彼に護身術を教えてもらおうと心に誓いました。
私が悪い上に、助けてもらっておきながら私は彼に説教じみたことを言ってしまいました。彼が助けてくれるのは嬉しいのですが、彼が傷つくところは見たくないという勝手な自分に自己嫌悪しながらも、お願いだから自己犠牲的なことはしないでほしいとお願いしました。彼も渋々ではありましたが納得してくれてよかったです。
でも、これで面倒な女と認定されてしまいましたかね?
これも彼の言うところの自業自得というものでしょう。
この後の食事は、モール内にある回転すしに行ったのですが、とても美味しく会話も弾んだのでとても楽しい時間でした。
ちなみに、おすし屋さんに行く前に、洋服のことは褒めてもらえました。
今夜のワンピースは彼の好みに合っていたようです。ヨカッタ…。
ですが、私が今夜、彼に時間をとってもらったのは夕飯の為だけではありません。
ここからが本番です。
彼を連れ、広場のベンチまで彼を誘導し、彼を癒すため膝枕の体制に。最初は拒んでいましたが、誰の目もないと聡し、両手で彼の頭を包み抱きしめてから、太ももに頭を乗せました。彼は何故か慌てて、姿勢を変えていたので少し擽ったい感じでした。
そして、彼のこれまでの孤独な戦いを、頑張りを、肯定しました。
愛おしい気持ちを精一杯乗せながら彼の頭を優しくなでながら…。
彼は、一人で父の名誉を守るために戦っていたのです。
でも、それを自己肯定も出来ていなかったのでしょう。周りの大人からも否定されたこともあったのでしょう。
心の拠り所がわからなくなっていたのかもしれません。
私の言葉が届くとも思えませんが…。
彼が流していた涙は、良い涙だったのだと信じたい…。
少しでも癒しになれたのなら本望なのですが…。
それでも、いつか両想いの恋人になれたらと夢想してしまいます。
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