暑さに焼かれた朝
暑さに焼かれた朝。
日陰を選んで息子の手を引き、バス停まで歩く。
去年までは暑さに茹りそうになりながら、電動自転車を漕いでいた。自閉症の息子が療育園のバス停までのたった5分の距離すら、歩いてくれなかったからだ。
それが今や、徒歩15分のバス停までスムーズに歩いてくれるようになったのだから、こどもの成長力は侮れない。
朝、今までより2時間早く起きて、特別支援学校と放課後デイサービスの連絡帳を書くのにも慣れた。
――大人用の朝食を作るのが億劫になってしまい、夫には適当なもので済ませてもらっているのが、気がかりではあるけれど。
息子と風邪のウイルスをうつしあったり、ママ友といまいちぎこちない距離感でしか付き合えなかったり。従業員の方が退職されてしまい、私の仕事が増えたりと色んな事があって、エッセイを書く元気が無かった。
そんな事をしている間に、夏休みになってしまった。
あとちょっとで7月も終わりである。
といっても、私は自営業の手伝いをしているので、息子は日中、デイサービスで過ごしている。
8月のお盆周辺の時期までは夏休みらしい夏休みとは言えないかも知れない。
息子本人がデイサービスでそれなりの楽しみを見つけてくれているから、良かった。
この駄文を更新していない間に、近しい人と話をする機会が何回かあったのだけれど、皆それぞれ重荷を抱えていると判った。
身近な人と絶縁していたり、職場で一筋縄ではいかない人に目をつけられてしまったり。ご自身が病に倒れてしまい、副作用に悩まされるはめになってしまったり。
皆それぞれ、何かを背負って生きているのだなと、なんだかしんみりしてしまった。
そんな中、母の体力がみるみる落ちて、トイレに行くのすら間に合わない事があると連絡を受ける。
何度口をすっぱくしても、健康的な生活を送らなかった弊害がついに表面に噴出したという訳なのだけれど、前向きに病状を保つことが出来ないのも、統合失調症の陰性症状の一つだと言われれば私には何も言えない。
(もっとも、この病とうまく付き合って自己実現をしている人はたくさんいらっしゃるので、決して母が全面的に被害者とは言えないと思う)
いろんな人の話を聞いていたせいか、現在はほぼ交流が無い状態の両親と、息子を合わせておこうか、という気持ちになった。
母が私達を判別できなくなってから会うのでは、後悔するかもしれないと、真っ直ぐに思えた。
lineで父と連絡を取ったその日に、悪夢を見た。
父を許せない要因である「過去の経験」が、フラッシュバックする。
「忘れるな、表面上穏やかな関係性を築いているとはいえ、相手は自分の非を一度も謝ってはいないのだぞ」
――そう、己が無意識から警告を受けたような気がした。
私、両親に会いたくないのだろうか。
深く考える事で行動できなくなることが嫌だったので、その問いには蓋をしたまま、手芸をして現実逃避をしている。
私はともかく、息子が喜べばそれでいい。
すくなくとも、今は。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます