卯月 ―2024年4月―

102種目 ヤナギルリハムシ

 ある程度大きな河川の水際には、街路樹ではなく自然に生えた樹木があるが、そこで目立つ樹の一つがヤナギだろう。

 ヤナギの仲間はシダレヤナギやネコヤナギが有名だが、日本に数十種が分布しており、種の確定はかなり困難である。会社員時代に植物担当から聞いた話によると、花を見ないと決定できないものが多いが、早春に花をつけるものも少なくない。

 このため、普通に春季から調査が始まるとすでに手遅れ、ということもあるらしい。


 筆者にももちろんヤナギの同定は難しいため、ここではヤナギ類という名を用いる。


    ◆


 ヤナギ類を食草とする種で比較的有名なのは、コムラサキというチョウだ。

 ただ、高いところを飛んでいることが多いので、実際目にすることは少ないかもしれない。

 この種については、また写真が撮れてから詳しく語ることにしよう。


 今回の『今日の昆虫』はこの虫。


https://kakuyomu.jp/users/r_hirose/news/16818093075638169014


 ヤナギルリハムシという甲虫だ。


 河川の調査をしていると、河畔林かはんりんだけでなく、単独で生えているヤナギの木でもよく見られる。


 体長は4㎜前後と小さい。

 漢字で書くと、『柳瑠璃葉虫』。

 ヤナギ類にいる瑠璃色るりいろの葉を食べる虫という意味になる。


 ハムシ科は甲虫の中でも大きなグループで、大半は植物の葉を食べる。

 先ほど挙げたコムラサキは幼虫だけがヤナギ類の葉を食べるが、ハムシは成虫、幼虫とも植物の葉を食べている。


 名前に含まれる瑠璃色とは、通常は濃い青色、宝石のラピスラズリの色らしい。

 昆虫の世界では、本種のような光沢のある藍色の種が多い。

 ただ、青色の別名のような使われ方もしているようだ。


    ◆


 ヤナギの木の葉を食べるハムシは他に何種かいる。


 普通種であるヤナギルリハムシの次によく見るのが、オレンジ色の翅に黒い星のあるテントウムシを前後に引き伸ばしたような虫、ヤナギハムシだ。


 こちらも探してみたが、今回は見つけられなかった。


 これも、次回以降の課題としたい。

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