振られて残り1ヶ月!? 〜俺の人生逆転物語〜

柊 つゆ

第XX話 全ての出会いに花束を

 春に美しく咲いている桜は、ほかのどの木と比べてもきれいだと思う。

 この「思い出の木」を眺めていると改めてこの思いが強くなる。

 学校近くの少し小さな山の頂にある公園の中心に、1つぽつんとあるこの桜の木は、3年前の出会いをまるで昨日のことのように思いださせてくれるようだ。

 この公園から見える町の景色はいつ見ても心が落ち着く。

 自分はこの町と一緒だということを強く感じられるからだ。

 俺は、柄にもなくこんなことを考えながら左腕に着けた白色の軽い腕時計を見る。


 17:10


 さっきまで空にいた太陽は消えかかっていて、地上を照らす役割を星に譲ろうとしていた。

 さて、そろそろ時間だ。

 今までの自分ならきっと逃げ出したい気持ちでいっぱいになっていただろう。

 でも、そんな気持ちはない。

 だって、みんながいるから。

 みんながいれば大丈夫。

 


 俺は、過去の思い出を振り返りながら未来へ進む覚悟を決めた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る