1-4.「字の読み」

1-4-1.文字の読み方

📖この節では、次の項目について説明する。

  【み】

  【おんみ】

   🖈音読みの方言

  【くんみ】

  【おく

   🖈品詞ごとでの送りの本則

  【もく

  【じゅうばこみ】

   🖈とう読みという概念は必要か

   🖈音訓混在を認めない宗教など必要なくってよ

  【かんおくり】⛏

   🖈副詞の語幹送りの提案

  【じゅくくん

   🖈熟字訓は当て字ではない

   🖈独自の熟字訓のすすめ



      †



📕【み】

 〈発音方法〉の意。

 [くだし]と書いて同義。


 についてはそれぞれ発音がすでに決まっているため、[読み]ではなく「おん」と呼ぶ。



      †



📕【おんみ】

 〈原音の発音に近い漢字の読み〉の意。

 〝〟〝ホウ〟〝チャク〟〝セキ〟〝〟〝〟などがこれ。


 まず[おん]と呼ぶのは、漢語的には日本語での同様に、漢字それぞれで固有の発音が決まっているから。

 [読み]がその後ろにくのは、漢語での「おん」も日本語では「読み下し方のひとつ」に過ぎないからである。


 ところで、〝株〟や〝皿〟とかって音読みちゃんと有るやつなんだけど、こいつら音読みできます?(いぢわる


   📍音読みの方言


 なお漢語での「おん」にはいくつかバリエーションがあり、「かんおん」「おん」「とうおん」などが一般に認識されるが、これらは単なる方言、ないしなまりに過ぎないもの。

 たとえば〔役〕という字には{エキ}という漢音と{ヤク}というおんで一般に発音されるが、どちらで発音しようが意味は何ひとつ変わらない。

 ゆえに、「役務」などは{エキ‐ム}が正しい発音とされているものの、そのなのだ。

 したがって当然、{ヤク‐ム}と発音しても、なんら問題は無い。

 要するに、これを間違いとしてあげつらうのは無知か無分別の証拠なのであり、そのような人たちを見つけ次第ニヤニヤと生温かく見守るため我々は生まれてきたのだ(



      †



📕【くんみ】

 〈「やまとことば」を起源とする日本独自の語へ当てられた漢字の読み〉の意。

 〝「ある」く〟〝「」きる〟〝「」る〟〝「あか」い〟〝「うつく」しい〟〝「わたくし」〟などがこれ。



      †



📕【おく

 〈訓読みをする語において読みに当たらない部分の音を示す〉の意。

 〝ある「く」〟〝「きる」〟〝「る」〟〝あか「い」〟〝うつく「しい」〟〝わたくし「」〟などがこれ。


   📍品詞ごとでの送りの本則


 要するにで書く部分であり、文法的には次のような本則が存在する。


  • 基本的には語尾をそのまま送りとする

    〝ある「く」〟〝「きる」〟〝あか「い」〟〝わたくし「」〟など


  • 一段動詞は語幹なしの場合のみ、先頭一音を送りに含めない

    〝「る」〟など


  • 形容詞は語幹末尾が{し}である場合のみ、その{し}を送りに含める

    〝うつく「しい」〟など


 形容詞の{し}を送りとするのは、「〜しい」が「〜い」に書き換え可能であるため。

 つまり漢字が表意文字であるゆえに、語幹にあたる漢字へ〔如〕の意を含めるのは適切ではないためである。



      †



📕【もく

 〈表記されてはいるがまったく発音しない字〉の意。

 〝やまと〟〝だて〟〝もん〟〝high〟〝wine〟などがこれ。


 「意味の補足」や「語の誇張」、あるいは「見栄えの良さ」のために、発音しない文字がされたものではあるが、、

 ……わけがわからないよ(



      †



📕【じゅうばこみ】

 〈熟語において音読みと訓読みが混在すること〉の意。

 〝ジュウばこ〟〝かぶケン〟などがこれ。


   📍とう読みという概念は必要なくってよ


 なお、「トウみ」と書いて同義でございますが、こちらは語頭が訓読みである熟語を特に指すものでございます。

 一方、「ジュウばこみ」は、語頭が音読みである熟語を特に指しますの。

 ということには一応なっておりますが、区別したところで得られるものもございませんし、正直どうでもよろしいですわ。

 「とう」などという言葉自体あまり使いませんし、「重箱読み」一本でよろしゅうございませんか。

 そも、普通に読みますと「おけ」でございますわね。


   📍音訓混在を認めない宗教など必要なくってよ


 ところで、〝熟語の読みが音訓混在するのは不自然〟とする「宗教」が、根強く存在し続けておりますわね。

 しかし、文法的にはそのようなルールなどございませんし、別に混じったところで不都合もございません。

 そして実際に、重箱読みの熟語は多数存在いたします。

 よって「気にしないでよい」で、お「ファイナルアンサー」でございますわ!


 こちらの宗教が発生した理由はおそらく、漢語から直接輸入された熟語は必然的に音読み。

 また、「やまとことば」をもとにした熟語は、漢語が混じらないゆえ必然的に訓読み。

 そんな所から来ている、とは考えられますわね。

 だからと言って、それをもって〝新語もべからくこれにならうべき〟とするルール付けが、成立する理由などございませんのですわ。 すわすわ!



      †



📕【かんおくり】⛏

 〈漢字をより読み下しやすくするために本来は読みである部分の末尾を送りへ送り出すこと〉の意。

 〝った:おこなった→おこなった〟〝みとめる:したためる→したためる〟などがこれ。


 一般的に使われている手法なのに、これを指す名称が見当たらなかったんだけど何でだろ。

 例のような、送りがかぶっているのに別の読みをする同一漢字の語は、区別のために語幹送りがすいしょうされるべきと考える。

 なお、常用漢字表では「み」が定義されているわけではないので、それが常用漢字表に載っている語であるかぎりは、語幹送りをしたとしても「」、特にルビ振りする必要は生じないと思われる。


   📍副詞の語幹送りの提案


 ほか個人的には、副詞全般については被修飾語とからめた漢字密度を下げるために、先頭一音以外をすべて語幹送りしたほうが見やすいように感じられる。

 つまり、〝すなわち:なわち〟〝おんなじ:んなじ〟のような形である。

 初見では奇異さが目立つかもしれないが、感覚をつかめばとても軽快に読み下せるものと自負してはいる。

 ただ、個人の感覚にもよるかもしれないので、これといって強要をしたいものではない。



      †



📕【じゅくくん

 〈熟語版の訓読み〉〈漢字の読みを無視して同義になりうる別の読みを当てた単語〉の意。

 〝はっとり(「部」はもく)←はたおりはたり担当の人〉〟〝煙草たばこtabacoタバーコ〈煙を吸って楽しむこう品を指すポルトガル語〉〟などがこれ。


 既存の語とその発音の組み合わせでは表現できないを、その音を崩さないまま表現するもの。


   📍熟字訓は当て字ではない


 これはよく、「」と混同されるもの。

 しかしそちらは「」のかんかつである一方、こちらは「み」のかんかつである。

 強いて言えば熟字訓は、発音に対して意を当てる「」であろう。


   📍独自の熟字訓のすすめ


 なおここに、〝熟字訓は勝手に作ってよく、単漢字に対する訓読みもまたしかり〟と主張する。

 勝手に作ったとしても、客観的にとうでないと判断される新語は、そもそも人に受け入れられない事が予想され、結果としてすぐとうされる事が期待できる。

 とうされないならばそれは、必要とされている物を作った事になる。

 そして「とらがひとをかもうとするときのうなりごえ」などはともかく、「さけ(字義は〈フグ〉)」「しば(字義は〈キノコ〉)」のような例がみられるとおり、そもそも訓読み自体、かなり棄遣ちゃらんぽうらんに成り立ったもの。

 さらには、漢字への訓読み割りあて作業の終了宣言も、まだ明示されていない。


 〝この漢字はこう読ませるのがとう〟、〝この言葉はこの漢字に割り当てるのがとう〟。

 そう感じたなら、是非そうするべきである。

 歴史上の物書きたちは皆、そうしてきた。

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