Cool Japan「うつけ者」(脳死シリーズ)

 どうも、疲労と悪夢の牢獄に囚われる怖さを知ったてくびです。


 いつも学校から家の区間は電車で移動する私ですが、六月某日、私は短距離の逃げ馬になったつもりで、その区間約壱〇キロを踏破致しましたことをご報告させていただきます。

 当時の私は別段あぶないクスリをやっていたわけでも、銃口を向けられていたわけでもありません。私の中に原因があったとするならば、私のイカレポンチ脳細胞の過半数がそうさせたのでしょう。

 かつての私の右手には日傘、左肩には高等教育の叡智。意気揚々とオールウェイズ乗車する列車を見逃した私に、両手を塞ぐものがいずれ肉体を蝕むハブマムシになることが想像できたでしょうか。


 脇汗が滲んだ学服に顔をしかめながら、私は恋をしました。私は嗜癖らしい嗜癖を抱いては居りません。無論、薔薇百合ケモナーという部分集合を除けばですが。確かにあの時、私は惚れたのです。私は俗に言う純情乙女な剛毛男子ですが、私はあの瞬間、心が揺れ動きました。

 白く大きな体躯。縦六十センチ。横一メートル五十センチほどの腹筋。三掛ける十八のフィフティフォーパックが私を優しく包み込んでくれました。今となっては、私はどうかしていたのだ、頬を赤く染めて枕に顔を埋めることでしょう。

 何故か彼はギザ十を十枚献上しなければ聞く耳を持ってくれませんでしたが、彼のツンデレのデレ部分は、言葉を借りるなら『まるで父さんみたいに大きな背中』でした。本当の父がツンデレ属性なら私は失踪していたでしょう。

 私は彼がくれた勇気と声援のボトル詰めを飲み干し、歩みを進めます。何度も乗るはずだった列車に追い抜かれました。しかし、私の心が追い抜かされることはありませんでした。

 見覚えのある景色が目に飛び込んできたとき、私はほっと息を吐き、扉に手を掛けました。私はルーブルにあるような彫刻の真似をし、風呂に浸かり、少年漫画と百合漫画という表裏一体で満ちた八畳半の部屋で、少しばかり湿った身体を布団と毛布で挟み込みます。


 私のくだらない与太話に付き合っていただきありがとうございます。

 落ちがないとおっしゃる方は、この画面を閉じ、早い内に床についてください。応援コメントなり星なり押してくださると私が狂ったように喜び、ピーマン体操を踊ります。

 生きていてくれてありがとう。

 

 

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