第4話 キャラメイキング

「キャラメイキングって何ですか?神崎さん?」


「えっと、それは置いておいて・・・。種族選べるんですよね!?おすすめありますか?」


俺はまるで初めてきたレストランで、店員にメニューを聞くかのような質問をした。


「そうですねぇ・・エルフ、魔人、あたりが妥当でしょうか・・・・ともに強力な才能を秘めていますし、寿命も長めです」


「容姿は?」


「容姿は、気にしないでも相当に美しくなると思いますよ」


「な、なんでですか?」


「何故なら、あなたには私の血が半分以上入っていますから」


「・・・・・・・・・・・え?」


「あ、言ってなかったですね?ごめんなさい」


そういえば、さっき・・・・。血を与えたとか言ってたな?それってどういうことなんだろう。


「あの・・・・・どういうことでしょう?」


この女神とんでもない発言してるぞ?俺の体に、この女神の血が入っている?


「神崎さんは、肉体の損傷が激しくて。少しばかり加工しないとダメな状態でしたから・・・・それで、私の肉体の一部で補完しました」


「か、加工って・・・・転生するのに、元の肉体なんかどうでもいいのでは?」


「うーん・・・表現が難しいんですけど。通常、転生ってありえないことなんですよ。どちらかというと転移に近いんです」


「転移はわかります。その姿のまま他の世界にいくことですよね?」


「はい、そうです。そもそも、転生というのは非常に難しくて、じつは元の肉体を他の世界の細胞に【変化させて】、他の世界に飛ばすことがやっとなんです」


「それじゃ、ほぼ転移じゃないですか」


「そう。そうなのです。まるっきり転移じゃないんですよ。細胞レベルで変化させるので、ほぼ転生でもあります。幼い赤子などにすることも可能です」


「なるほど、神様でもそれが限界なんですか?神様なのに・・・」


俺のそのセリフに、女神は少しこめかみに血管を浮かせながら答えた。


「私も相当に高い位の神ですが、それこそ最上位神でなければ転生というのは出来ませんよ」


「なるほど・・・ラノベとは違うってことか・・・」


「ラノベ・・・?また訳の判らないことを・・・」


女神はラノベという単語が分からないのか首を傾げた。その様子がまた可愛い。さっきまでの破壊神モードは何だったのだろうか・・・・・。


「あ、僕のいた世界の話です・・・・・それでエルフとか魔人って言ってましたよね。でも・・・・転移なのに種族も変えられるんですか?」


「はい、ベースの肉体さえあれば、少しこねくり回せば種族くらい変えられますよ」


「こねくり回すって・・・・粘土みたいですね」


「似たようなものです」


ニコリと笑う女神。粘土と大分違うと思うが・・・・俺は質問を続けてみた。


「それで、女神様の血が僕に入っているということですけど、それって普通のことなんですか?転生・・・転移させる人に、そういうことするのって」


「とんでもない。神界では禁忌とされている所業ですよ」


「そ、そうなんですか?いいんです?俺にそんなことしちゃって」


「いいんです。言わなきゃわからないことなので」


手の平をひらひらさせながら笑う女神。やけにライトな感じだ。しかし、俺は疑問を感じている。禁忌を犯してまで、なぜ俺を転生させようとしているのだろうか? それに女神の血とかって、相当に貴重なのでは?


「でも・・・なぜ俺にそこまで・・・・」


「そ、そうですね・・・。それは気がむいたから、とだけ答えておきましょう」


「気がむいたって・・・え!?でも・・・、なんで俺なんかに?」


「まぁ、私は気まぐれですから」


「ええ?でも、そんな禁忌を犯すって・・・・」


すると、女神は少し鬱陶しいというような表情を浮かべた。これ以上、質問するとヤバイかも知れない・・・・。


「うるさいです、詳しいことは聞かないでください。私があなたを気にいった。それでいいじゃないですか」


「気に入った?」


「はい、地球での最後の瞬間みていましたよ、友人の妹を命をかけて救った姿、かっこよかったですよ!それに惚れて、私の肉体を少しあげることにしました」


女神はニコニコしながら答えた。


「・・・・・・・・・・・・」


やけに胡散臭い・・・・・・本当にそれが理由なのだろうか。しかし、追及して機嫌を損ねてもマズイ・・・まぁいいか・・・・・。


「・・・・・・・・・わかりました。それじゃあ。種族の選定をお願いします」


「少し寄り道してしまいましたね、エルフか魔人がおすすめですよ」


おすすめという女神の顔は、どこかセールスマンのような雰囲気をもっていた。笑顔が胡散臭い・・・・・・・・。


「・・・・・その二種族の弱点は?」


すべて完全な種族などいないはずだ。


「エルフは繁殖が難しいです、どちらというと妖精に近い生命体なので、これは仕方ありません。特徴としては、この種族は感情が安定しています。淡白な性格とでもいいましょうか」


繁殖が難しいってことは、もしかしてそういうエッチィ欲がないのかな。それはそれで悲しいような・・・・・。それにエルフって、菜食主義だったような・・・。


「もしかして、菜食主義ですか?」


「エルフがですか?いえ?食事も菜食が主ですが、肉料理なども食べますよ?」


「繁殖が難しいっていいましたよね?それって?」


「うーん。なんでしょうね、生きることに固執しないって言うか。とにかく欲がないんですよ」


「それは種族特有なんですか?」


「まぁ、そうですね。長く生きれば生きるほど、物欲や性欲などが薄くなるようです。エルフは妖精的な存在ですからね」


なるほど、俺が読んでいたラノベとはちょっと違うのか?エルフ・・・聞こえはいいが、色々と問題が起きそうだ。あんまり面白い人生は歩めないかもな・・・才能は恵まれていそうだけど。


「では、魔人は?」


「エルフのような問題はないのですが、破壊と殺戮本能が問題ですね、まぁ魔人同士でも、しょっちゅう殺し合いしてますから。基本的に人間からみたとき、天敵同士です。まず、魔人が勝ちますが嫌われ者です。私は結構好きな種族ですけどね。戦闘民族って感じで悪くないです」


おいおいおい! 問題ありまくりじゃねーか・・・・・嫌だよ、そんなの。聞いてよかった。


他に無いのかよ。


「他にありませんかね?その二種族どれも嫌なのですけど」


「ワガママですねー。まったく・・・・」


「すみません、別の種族でお願いします」


むかついたが、ここは素直に頭を下げた。


「・・・・わかりました。他の種族ですか・・・・そうですね・・・他は 人間、獣人、ドワーフなどありますが、人間は寿命の問題がありますし、獣人は才能が剣と格闘のみで魔力がありません。ドワーフも才能では偏りすぎてます。ないと思いますよー?あの二種族がお勧めですよ。やはり。」


そうなのかー、まぁ仕方ないのかな。でも、せっかく生まれ変わるのに妥協したくないんだよな。


「ハーフでもいいですよ?良いとこ取りみたいな」


「ハーフはオススメしません、若年のときは才能に恵まれますが、上限がすぐ見えてきます」


そうなのか!どこかの戦闘民族の子供みたいだな。


(しかし、なんか変なんだよな。この女神・・・・・)


俺は、この女神のいうことを半分以上信用していなかった。どこか怪しいんだよな・・。さっきの【はじまりの精霊】ってのも気になるし、自分の肉体を与えてまで俺を転生させようとしている理由もはっきりしない。他に隠し玉持ってる可能性もある。少し粘ってみるか・・・・・・・・。


「本当に他ないのですか?本当に?」


俺はジト目で女神を見つめた。


「な、なんですか? 女神を疑ってるんですか?」


そうだよ!疑ってるんだよ。もう少し圧力かけてみよう


「・・・・・」


「無いものはないですよ。もう!止めなさい、そのジト目」


うーん、ここまで圧力かけてないんだから、もう無いのかな。


「神崎龍二さん諦めなさい・・・・うん?龍二・・・・・龍?!あ、あった。もう一種族ありましたよ すっかり忘れてましたが」


まじか!!やった、粘った甲斐があったよ。早く言ってよ、女神様!


「本当ですか?!なんて種族なんです?」


ワクワク・・・・ドキドキ・・・・


「それは、龍人族です。」


龍人族???


「これはレアな種族ですよー、今だけですよー?もってけドロボー!!」


叩き売りみたいだな!おい!


「その種族のなにがおすすめなんですか?」


「龍人族はですね・・・剣と魔法の才能のほかにスキルも多数持ちますので、万能です。一つ一つの能力は地上では最強レベルですよ、それに・・・・特色があります」


「そ、それは? 」


「龍人族は皆、美しい容姿をしているので、私の肉体も作用して、相当にモテる顔になるでしょう!」


「じゃあ、それで決定で!!」


俺は即答した。

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