(二)-12

 入学式も終わり、最初のホームルームが始まった。

 担任教師の嵐山ムサシが教室に入ってきて、出席簿を片手に、野太い声で生徒の名前を読み上げ始めた。名前が読み上げられるたびに私はクラスメートの顔を横目でチラ見して確認していった。記憶力は良くも悪くもないが、確認しておけば後々の役に立つかもしれない。

「志木アサカ」

 私の名が呼ばれたので、私は立ち上がり「よろしくお願いしまーす」と短く挨拶しながらクラスを一望してみた。しかしターゲットの姿はわからなかった。


(続く)

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