・1-25 第40話 「対峙」
※作者より
突然ですが、本日夜はクリスマス・イヴ!
ということで、本作のヒロイン、村娘のフィーナにサンタの衣装を着てもらいました!
https://www.pixiv.net/artworks/103848379
もしよろしければ、ご覧くださいませ!
熊吉も、今日はケーキをいただこうと思います!
それでは、本編をお楽しみください!
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野盗たちは、源九郎がフィーナを救出し、村へとやって来た方向から姿をあらわした。
人数は、6人。
その内の5人が馬上にあった。
野盗の集団は、騎士崩れに率いられている。
長老からそう説明されたが、なるほど、馬上の1人は騎士に見える。
森の中の小屋で出会った野盗たちは、武装しているとはいえ、その品質はお粗末なものだった。
身に着けている鎧も武器も錆びていて、部品がいくつも欠損していた。
だが、その野盗の頭領の装備は、整っている。
身に着けている板金でできた堅牢な鎧は本来の部品がほぼそろっているし、面頬はないものの、兜も被っている。
しかもその下には
腰に差しているのは、馬上で使うことを意識してか、片手で使うこともできる
さらに、馬の鞍には、金属製の
馬上の際は片手で剣を振るい、徒歩では盾も装備して戦うというスタイルなのだろう。
他の馬上にいる野盗の内の2人も、この頭領ほどではないが装備が充実している。
騎士ではなく兵士なのだろう、板金の胸当てと面頬のない兜を身に着けている。
1人は頭領と同じく
2人とも、今は武器の代わりに火のついた松明を手に、頭領のために夜道を照らしている。
後の3人の装備は、源九郎が小屋で戦った野盗たちと変わらない。
粗末な装備だけを身に着けている。
そしてその内の1人、なぜか徒歩で歩かされている野盗に、源九郎は見覚えがあった。
フィーナをさらった3人の野盗たちの1人、スキンヘッドの、兄貴分の野盗だった。
そしてその兄貴分の野盗には、どういうわけか、縄がかけられている。
歩けるように足は自由だったが、両手は後ろ手に縛られて武器も取り上げられているうえに、まるで罪人であるかのように首輪をつけられ、野盗の1人に馬上から縄で引かれている。
その様子を見つめながら、源九郎は眉をしかめる。
(どういうことだ……? )
源九郎を探し出し、報復するために野盗たちがやってきたのだと思っていたのだが、それにしては様子がおかしいのだ。
やがて野盗たちは、長老とフィーナの家の前を横切って行った。
そして、村の広場で待っていた長老の手前、5メートルほどの距離で立ち止まる。
「こんな夜更けに、なに用だっぺ!? 」
距離を取って立ち止まった野盗たちに向かって、長老が警戒するような声でそう問いかける。
誰もお前らのことなど歓迎していないぞという声だった。
「1つ、確認したいことがあって来た」
すると、野盗たちの頭領、元騎士が口を開く。
ヒゲのない、まだ30代そこそこと言った、碧眼の瞳の、冷血そうな印象のする
「昨日、我が配下の者が村で
それは、感情を抑えた口調だった。
「あまつさえ、見慣れぬ風体の大男によって、娘は取り返され、我が配下は無様にも逃げ帰ったと聞いている。
「アンタらのもんが村さ来て、おらの大事な娘っ子と、村の大切な馬さ、さらっていったんは、本当だっぺ」
頭領の質問に、長老は険しい表情のままうなずく。
「そうか。
ならば、見慣れぬ風体の大男と、娘は、村にいるか? 」
「いねぇな!
そったら、見慣れぬ風体の大男なんざ村に来ちゃおらんし、さらわれとった娘も馬も戻ってきちゃいねぇ。
あんたらが捕えてるんじゃねーだか? 」
頭領はさらに問いかけたが、長老は源九郎とフィーナをかばおうというのか、シラを切った。
「……フン、白々しい」
その長老の言葉に、頭領はいまいましそうな口調で吐き捨てる。
だが、長老にそれ以上強く問いかけるようなことはせず、その代わりに首を振って配下の野盗に合図し、縄でここまで引いて来たスキンヘッドの野盗を前に引きずり出す。
「昼に村にやって来た者たちのリーダーは、この男だった。
それに、間違いはないか? 」
そして頭領は、長老に向かってそう問いかけた。
その言葉に、縄をかけられて引きずられて来たスキンヘッドの野盗は、動揺しているのかフー、フー、と息を荒くする。
しかし、さるぐつわを噛まされているために、なにか言葉を口にすることはなかった。
松明の明かりの下で、スキンヘッドの野盗の頭部が、ぬらぬらと光っている。
どうやら、初春のまだ寒さを強く感じる夜であるのに、玉のような汗を無数にかいているようだった。
「ああ。
そいつがリーダーかどうかは、おらたちにはわかんねぇけども。
昼に、村さ襲った中に、
なぜ、スキンヘッドの野盗がこの場に引き出されて来たのか。
どうして、激しく動揺し、まるで怯えているように見えるのか。
「そうか」
そううなずくと、頭領は唐突に腰から剣を抜く。
「……っ! 」
源九郎がその頭領の行動に驚き、刀の柄に手をかけるのと、振り上げられた
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