第30話 不死鳥の戦士
堕天使の虐殺が絶えないこの世の中、しかしニュースなどで触れられるのは軽い程度。
人間は慣れていく生き物、過去に怪人の被害を受けたことで当たり前の様になっている恐ろしさ。
そんな中授かれし戦士達は下界していた超級堕天使であるファパーに苦戦していた。
「これが………超級堕天使の実力………」
「ふん、弱い。神に少しばかし力を貰ったところで、俺には勝てぬ。倒すならばザーガを連れて来い。我が勢力が使い捨ての駒ではないことを神に証明するためには、お前達では弱すぎる」
圧倒的力の前に倒れ込む戦士に、捨てられぬポーンは呆れた様子で後ろ側の首から片手で持ち上げる。
そして上空に放り投げ、次元の裂け目から大剣を召喚した。
「弱き命、この剣に捧げよ」
上空では身動きが取れない、しかし授かれし戦士には天使の翼がある。
おそらく相手はその大剣を自分の着地点に設置し突き刺す予定なのだろう。
この翼で飛行すれば反撃も容易だ。
翼を羽ばたかせようとすると、予想外のことが待ち受けていた。
なんとファパーは大剣を逆手で持ち、投げ槍の如くこちらに勢いよく投げて来たのだ。
「だから言っただろう。弱き命、この剣に捧げよと」
避けるまもなく授かれし戦士の腹部は貫かれ急降下しながら死亡、そのまま地面に叩きつけられた。
大剣が高速で主人の元へ戻るとそれを掴み取り、相手のあまりの弱さに思わず咆哮を上げる。
すると発射音と共にミサイルが4発同時に飛んで来た。
(新手か?)
大剣を旋風を巻き起こすように右手のスナップを効かせることで高速回転、ミサイルから身を防ぐ。
だがあまりの爆風に思わず後退りする。
「敵はワイバーンの攻撃を防ぎました。これよりアーチャー
ミサイルを放ったのはパワードスーツ
「お前が禁断の戦士か。人間がいくら強力な武装をしたとしても、死に近づくことに何の価値がある?」
「………別に近づきたくて近づいているわけじゃない。軍人は命令があればそれ通りに動く、それに
装着者として、家族のためにここで死ぬわけにはいかない。
〈アーチャー
撃ち出される銃弾を大剣で斬りながら走り近づいて来る敵に対し、連射しつつカウンターの左フックを仕掛ける。
(安易だな)
だが戦闘においてファパーの熟練度は現人より遥かに高い。
大剣を盾にすると見せかけ勢いのまま刺し貫く。
相手の拳よりリーチの長い大剣でトドメを刺すことは簡単なことだ。
「その攻撃は読んでいる」
それに対して禁断の戦士は左拳で刀身を殴り、大剣を破壊して見せた。
ヘッドパーツのスキャナーには〈スー〉よりも格段に優れた
しかし目と脳にかなりの負荷が掛かるため、長時間の装着はできない。
それを悟られないようにしなければ、時間稼ぎをされては目も当てられない。
あまりの破壊力に動揺すると同時に、ファパーは好敵手の出現に興奮すら覚えた。
突っ込んだ勢いのまま頭突きを繰り出すも、予測され顎を蹴り上げられる。
銃口を向けられ即座に堕天の翼を羽ばたかせ、回避行動を取る。
しかしそれも
(俺の攻撃はすべて予測される。ならば仕方あるまい。あまり頼りたくなかったが)
ファパーは変身に
「変身!」
掛け声と共に全身が闇に包まれ、銃弾をすべて吸収した。
「なんだ。まさか、あれが堕天使の変身……」
予想通りファパーは変身を完了し、新たな姿を表す。
それは銀色に輝き、不死鳥の如く激しい炎の様なトゲトゲしい造形をした頭と顔に赤き複眼があり、口にはレーザーキャノン砲を搭載、筋肉質になっている。
「これが俺の新たな姿。再生を繰り返しより強くなる。お前では殺すことは不可能だ。名を名乗るならば、そう、メタルフェニックス・ダークエンジェルと言ったところか」
「メタル………フェニックス………いや、あのザーガが倒せた相手だ。俺だって」
「ほぉー。ザーガと自分が対等と戦闘力だと思っているのか。愚かな。あの戦士は成長を続けている。限界のあるお前が並べる器ではない」
ファパーが道路に降り立つとまるで地球が拒否反応を起こしているように地面が震え始める。
その光景に授かれし戦士達も完全に確信した。
「逃げろ! 君ではこの悪魔を倒すことはできない!」
忠告を聞いてもなお、現人は戦う意志を燃やし続ける。
すると後輩の自衛官が〈ワイバーン〉を渡してきた。
「現人さん、上からの命令です。時間をかけるな、速やかに撃破しろと」
「………了解した。ここで終わらせる」
4連装型ランチャーを敵に向け、ケーブルを腰部分の電源に繋ぐ。
余裕を見せるようにゆっくりと近づいて来るメタルフェニックス・ダークエンジェルに〈ワイバーン〉を向ける。
「ファイヤ」
撃ち出される4弾のミサイル、これを食らえばいくら再生できようがひとたまりもない。
勢いのままにファパーの胸に激突すると、爆発を引き起こした。
だが
(ウソだ。あの強力な攻撃を受けて倒せないなんて………)
予想外の生命力に恐怖する現人だったが、両手を拳にし自分を
「倒したことを確信しないあたり、そこは褒めてやる。だがその程度の攻撃で俺を消し飛ばすことができる。そう思っていたなら、それは間違いだ」
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