第16話 軍勢の戦士

研究所にいるジャーミーを殺しに来たバトルジェット・ダークエンジェルの3人だったが、ゴアドと丁度居合わせたZ2ズーツー達の妨害に遭う。

〈バーサーカー〉によるミサイル攻撃を食らい、すでに1人は死亡していた。


「なんなんだこの状況は! こんなにも戦力差が違うなんて聞いてないぞ!」


「落ち着け。ウォーノウ様はまだ戦っているはず。使命を真っ当するのだ」


自分達の上司が撃破されたとはつい知らず、生きていると信じ戦闘を続ける。

マシンガンをZ2ズーツー達に向けて連射しつつ、打ち出されるミサイルを低空飛行で躱して行く。


「はっ、早い!?」


「落ち着け。1度は倒した相手だ。黄金の戦士と協力し、堕天使を撃破するぞ!」


部下の動揺した発言に隊長は指揮を上げるため指示を出すと、弾切れになった〈バーサーカー〉を敵にぶつける。


「なっ!?」


ぶつけられた1人の堕天使はバランスを崩し、アスファルトの地面に叩きつけられる。


「1人は俺達に任せろ。あんたはもう1人を頼む」


「分かった。死ぬんじゃないぞ」


彼の指示を受けゴアドは〈スピアーグリフォン〉を構え、全力で貫きにかかる。

低空飛行でマシンガンを連射されるが、黒き槍を振るって弾丸をはじく。


「ウオォォォォォォ!!」


距離を積め繰り出される一撃を放つ。


「グハ!?」


バトルジェット・ダークエンジェルの腹を貫通し、オイルと血液が溢れ出す。

さらに追撃の頭突きを食らわせ、脳に振動を与えると同時に〈スピアーグリフォン〉を引き抜く。

後退りする堕天使に対して容赦なく蹴り飛ばし、金竜きんりゅうの翼を背中から生やす。

そして天高く飛び上がり、神から授かれし白き拳銃〈ガンバロン〉を召喚した。


コッキングレバーを1回引くとエネルギーが溜まるチャージ音が鳴り、狙いを敵に定める。


「こんなところで!!」


叫びを上げジェット噴射でゴアドに向けて急上昇、突進攻撃を試みる。


「血迷ったな。さっさと消えろ」


だが白き守護神の引き鉄は弾かれ、コッキングレバーが溜められたエネルギーを押し出す。

銃口から放たれる高出力の裁きの破壊光線〈ガーディアンバスター〉が裁かれし者を消し飛ばした。


一方Z2ズーツー達は〈アーチャー・マーク2〉を装備し、堕天使との戦闘を続けていた。


「良し。このまま相手を撃破するぞ!」


『はい!!』


ここまで訓練を欠かさず行なってきた彼らの戦闘力は堕天使の想像をはるかに超えていた。


「全力で潰しにかかっているはずなのに………この堕天使を超えるというのか………」


「我々は国を守るためにここにいる。どんな相手だろうと、倒してみせる!」


全員引き鉄をめいいっぱい弾き、バトルジェット・ダークエンジェルに向け猛攻撃を仕掛ける。

銃弾を避けようとジェット噴射で上昇するが、間に合わず撃ち落とされる。

貫通することはなかったが体内に残ってしまい、動く度に全身へ激痛が走る。


「お、おのれ………」


これ以上飛行を続ければエンジンによる爆発で死亡してしまうため、地面に降り立つ。

ミサイルランチャーを即座に召喚し、トリガーを弾こうとするが〈アーチャー・マーク2〉による弾幕を浴びる。


「グッ………グオォォォォォォォ!?」


一方的な火力に押されながら断末魔を上げ、爆散するのだった。



その光景を〈ダークネスリングゾーン〉で覗いていた超級堕天使のファパーは呆れた様に後ろを振り向き、その場を立ち去る。


「つまらん。力を制御できない者ごときに負けるとは」


そう言っていると、同じく超級堕天使のゼッツが笑みを浮かべながら彼の前に立つ。


「なんだゼッツ、俺になんか用か?」


ぶっきらぼうに口を動かす彼に、鼻を鳴らし指を指す。


「あなたはさっき力を制御できない者とザーガを例えましたね。それはつまりその力を自分の物にできた時、私達の更なる脅威に成り得るでしょう。だからこそここで叩かなければ」


「お前の言っていることは正しい。だが古代の戦士は今もう1人のザーガに連れ去られた。部下を行かせたところで返り討ちに合うだけだろう。何十人もの戦力があれば別だ。人類を滅ぼすのに弱者を全滅させるかそれとも先に強者をいただくか」


その問いに対してゼッツは考えの違いを理解すると同時に「確かにそうですね」と納得した様子で頭を縦に振る。


「ですが私達はザーガを倒さなければ先には進めません。指揮を下げるためにも倒すべきなんです」


「つまり部下を集めて仕留めに行かせろと? 強者と戦うこと、それは俺達の生き甲斐ではある。ならばいいだろう。これも堕天使の仲だ。協力しあの2人を倒そうではないか」


ファパーの強靭な手とゼッツの美しき手が同盟を結び、部下達を六問と謎の男性の元へ向かわせるのだった。

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