第5話
先触れもなく、突然
(どれだけ女好きなのよ……)
私は口を尖らせたまま、
「ん。どうぞ、座れば」
「お前なあ。皇帝に対して無礼だぞ」
「はいはい、すみませんでした。好色の皇帝陛下」
私の言葉に腹を立てたのか、
「……明日で三日だ」
「そうね。残念ながら、陶妃様以外の妃たちにはフラれちゃったわ。でも大丈夫よ、明日は陶妃様ときちんと話して説得してくる」
「説得? 何を?」
呆れた。
私が惨めな気持ちを押し殺して、頑張って
次々に妃たちにフラれて可哀そうだなんて思っていたけど、そんな気持ちは撤回だ。
「だから、陶妃様にハッキリ言うのよ。皇帝陛下の跡継ぎのためです、陶妃様以外の妃が陛下の寵愛を受けることをお許し下さいって」
「……もしかして翠蘭。俺の気持ちを分かってくれたのか?」
「
「そうか、やっと分かってくれたか。長かったよ」
そんなに私のことが嫌い?
私だって、貴方の後宮妃なのよ。
どうして他の妃と結ばれるために、私がお膳立てしなければならないの?
今にもこぼれ落ちそうな涙を堪える私の目の前には、目がなくなるほどに満面の笑みを浮かべる
「蝉って死ぬ間際、こういう気持ちなのかな」
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